東部戦線
帝都ベルリン、総統官邸
「ご報告致します。予測通り連合軍はエディンバラに上陸しましたが、守備隊が撃退した模様です。」
「どうだったのだ?例の新型車両は…」
「大戦果です。新型と思われる敵戦車による攻撃はほとんど通用せず、一方的な戦いになったようです。」
食い気味に語る参謀総長。全く…参謀本部の長たる者が落ち着きを失うほどのことでは無いだろうに。幸い彼は無能では無いが、これからこの状態が続くようなのだったら考えねばならないだろう。労働に感情は不要だ。人間は工場の機械を見習わなければならない。
「結構。そしてクラーマー君、パンツァーⅤの全戦線への配備の完了予定は?」
「3ヶ月程で完了します。」
カスパル・クラーマー軍需大臣。彼は理想的な人間だ。常に冷静で仕事でのミスも全くと言っていいほどない。現在の我が国の総力戦体制の早期構築、オスマン帝国からのパイプラインの敷設など彼の功績は計り知れない。
「閣下、マスタング作戦は機甲師団の編成を待つのみです。」
「うむ。開戦の日まで注意を怠らんように。敵の攻撃にも注意しておいてくれたまえ。」
「了解。」
「では、諸君。枢軸諸国連合の為に、祖国のために、ドイツ民族のために、我々は生存圏を拡大する!黄色人種との雑種を駆除するための戦いに突入する!」
我々ドイツ民族は世界を支配するために生まれた。世界平和は一つの絶対的な権力によってなされる。一人の君主では不十分だ。それは歴史が嫌という程証明してくれた。今一つの国家を成す優等な民族によって世界は統一され効率的な生産、破壊を繰り返して人類全体に幸せをもたらす。
「「「「 ハイル・フューラー‼︎ハイル・ボルマン‼︎ 」」」」
その中で最も利益を得る権利があるのは平和な世界を作り上げた張本人、そう…我々だ!!!
ソヴィエト連邦、パジェフスキー宮殿
我が国は枢軸国との不可侵条約の締結に成功し、中立を保ってきた。世界中が戦争に突入し、泥沼にはまっていく中で我々は発展を続けてきた。1931年、経済の自由化に成功し、それから8年間全くもって障害がなかった上、両陣営の大量の需要。ソヴィエト連邦は奇跡的な発展を遂げた。米独に次ぐ経済力を獲得し、そこからも常に成長を続けてきた。しかし、夢のような時代は長くは続かなかった。ドイツが強力な新型戦車を量産し東方軍向けに輸送されているようなのだ。戦力の増強ならわからんでも無い。しかし、彼らは軍事的脅威が全くもってないはず(我々は極力ドイツを刺激しないよう国境への軍の展開を避けてきた)の東方に大規模な装甲師団群を配置している。兵器の更新に偽装している辺り完全にクロだ。
「セヴェンツォフ君、西方に展開可能な戦力は?」
「四個装甲師団が三週間で展開できます。」
「では、カルトス君。」
「T-39を月産1500両のペースで生産を開始します。」
「よし。ドイツは最早ただの隣人では無い。裏切り者どもにソヴィエト連邦の力を思い知らせてやれ。」
「しかし書記長、交渉という解決方法もあr」パァンッ‼︎
「大軍を国境に配備している時点で奴らに話し合うつもりは無い、といことだ。分かったな?」
「「「「До‼︎‼︎」」」」
我が国は広大な国土と尽きることのない人的資源を持っている。電撃戦は短距離を一瞬で駆け抜けることにおいて最も力を発揮する。火力、装甲、速力の全てが揃った軍が制空権下で航空支援を受けながら敵国の急所を貫く。しかし貫き通す前に勢いを失えば状況は一変、精強な軍は敵のど真ん中に孤立する。突破されても包囲される前に逆包囲して仕舞えばいいだけのこと。
私は確信した。
「この戦争は、ここで終わるだろう。」




