屋敷編.第六章 一矢報いる
洋館。大広間にて
スゥー…スゥー…スゥー…
息を吐きながら僕は待つ。誰もまだ分からないような洋館大広間。
ここであいつを迎え撃つ。きっと。倒すまではいかなくとも。おれなら絶対に。
キィー…
とびらが空いていく。美術展示室の方から誰かやってくるみたいだ。
いた、あいつか。この機は絶対に逃さない。
シャトー「さーてどういたしましょうか。あいつらがあちらに逃げたという事は逆に。あの希少な少年の私の文献にも載っていなかったあの少年の青い炎。尻尾から常に垂れていると思えば空気中ですぐに蒸発する炎。あいつだけは絶対…はっ!?」
がきぃん!!!!
リリアンは確かによけた。気が付かなかった訳じゃない。
???「あんたが来るのをじっと待ってたんだよ。あんたの実験材料として生きてきたがもううんざりだ。」
シャトー「な、お前は。グリムか。」
階段を上ろうとした直前に気づいたため、のけぞりホールでグリムと相対する。
グリム「そうだよ。あんたのせいで爪の出し入れが自由になるなんて言う何に使うかもわからないような意味の分からないような実験を施された。他の子たちも助けに来た仲間によって逃げているぞ。あんたを今から倒させてもらう。」
シャトー「あら。私に挑もうというの。先ほどのスピードなんてのろすぎて驚きましたわ。大した事なかったで…」
グリム「死魂撃…」
!?!?!?
シャトーは思いっきり後ろに下がった。
シャトー「な、私はそれを教えていない。実験材料として捕まっていたお前に何故そのような…。」
グリム「びっくりするのも無理はない。ただブラフだと思うなら勝手に思っていればいい。この一撃に命を…懸けるっ!!!」
(どうせブラフですわ。所詮実験材料。あのような知識があるとは思えない。こいつの相手なんてしてられませんわ。とっとととどめを刺してあげましょう)
シャトー「どうせ実験材料でしかない村の狐少年如きが!!!私に盾つくんじゃないんだよ!」
”一段。処刑の構え”
シャトーは腰を下げ右手と右足を後ろに。それと同時に血がにじみ出てシャトーの右手をすべて赤で染め上げる。
調子に乗るんじゃねええッ!!! 奥義…
グリム「あなたはただ誘拐し、ただ実験し。自己満足のためだけに命を弄んでいる。何故気が付かない。あなたのような美しいお方が。」
せめて、あいつらが最悪のシナリオを向かえないように。 奥義…
”薔薇切り(ばらぎり)” ”死魂撃 無痛裂”
・・・・・・
お互いがすれ違い、ただ自分の痛みを確認するシャトー・リリアン。
シャトー「ふぅ。所詮は落ちこぼれ。結局何をやってもあの村の連中は昔からダメダメ。私に傷を負わせようなんて100年早いんですわ。」
グリム「ぐはぁ…」
僕は負けた。だがいい。僕の死こそ意味がある。あいつに一矢報いる事が。できたの・・・だから…。
グリムは腹が裂け、大きく血を流してそのまま倒れた。
狐人一人死亡。残り25人。
シャトー「こいつもただの狩炎種。珍しい能力なんて持っていなかった。ただあの”発言”には驚いたな。ただ発言と行動が伴っていな
!?!?!?!?
ぐふっ…なっ何…?
シャトー「そんな、私の腹にもあいつにつけてやった傷と似たような者が。馬鹿な。なんだ。今気づいた。遅れてやってきたのか。くそっ!なんなんですの。。。血が止まらない。あいつのあの”発言”は完全にブラフなんかではなかったというんですの・・・?」
血が止まらずに思わず館全体に聞こえるように
ガンッ…ガンスはいないのかしら!!!!!!!
ガンス「お嬢様!?」
上の階の扉が開いてすぐさま階段からシュタッとおりてシャトーのもとに駆け付ける。
ガンス「お嬢様!しっかりしてください!何があったのですか」
シャトー「あの…あの実験材料にしてやられた…まさかこの私が攻撃をもらうとは思いせんでした。完全に油断した。私がわざと檻の中においていった書物。あれでここに迷い込んだあの狐族共は能力を身につけはじめるだろう。その前にガフッ…その前に私が連れ出した狐族共は実験材料としていくつか成功はしたが失敗作は理性を失い手放した。失敗理由の大半が理性を失うだけで何かしらの能力は…」
ガンス「もういいですお嬢様。今すぐ治療室に連れていきます。癒炎族の尻尾から生成されるものでポーションを頼まれていたのを作りましたので今すぐ治療に。」
そういってガンスはシャトーをつれてホール部屋を後にした。
同じくホール部屋。二階の隅で一部始終を見ていた物。
???「私と同じ失敗作…あいつの死体は弔ってあげなくちゃ。ありがとね。あんたの分まで私が全部敵を討つ。あなたがまさかあの技を持っていたとは。死魂撃。あれだけは使っちゃダメだって…私散々注意してあげたのに…」
登場人物
シャトー・リリアン
ガンス
グリム
???