別館編.第三十三章 狂気とは誰にも証明できない物である
ーーー蛇のプレート部屋(隠し部屋)ーーー
シャトーとミーコは対等に戦っているように見えてミーコの方が段々と押されていく。
それも当然、ミーコは既に体力の半分は削られている。それも自身の能力、狂気斧のせいで尋常じゃないほど持久戦に弱かった。それ自体はシャトーは見抜けていなかったがミーコの持つ潜在能力の力に徐々に恐怖を覚えて早々に片付けないとどうなるかは分からなかった。
ミーコ(ハァ…ハァ…チッ。しんどすぎる。こいつの斧が徐々に私の体力吸い続けてんだ。長くはもたねえにしてもここまでとは…やはり倒すのはあきらめるしか…)
シャトー「どこまで言っていいのか分かりませんけど、十分貴女もお仲間さん達も頑張りました。悪い事は言いません。私と一緒に来ていただくだけで皆様の命も助かります。」
「もう何人か死んでるって聞いてんぞ。そいつらの魂はどこに行くっていうんだ?」
「お気の毒に。でも必要な犠牲ですわ。」
「そうやって言えば何でも許されるのかよ。私絵本で見たぞ。神様はいるって。でも結局何もしてくれなかった。私が両親から虐待を受けている時も友達がいじめられている時も何にもしてくれなかった。でもせめてこういうときだけは。こういうときだけは助けてくれるって信じてた、でもそうはいかなかった。
結局夢を見ていたんじゃねえかって。」
「ええ。神様は居ませんわ。私が人生の先輩として告げる言葉があるとすれば幻想ばかり見ていませんようにと。例え絶望ばかりが押し寄せてきても。こうやって今目の前に希望が見えているのだからと。」
この言葉にミーコは違和感を感じた。これは例え話じゃなくて狐人が目の前に居ることがこいつの希望だといって心の中でほくそ笑んでいるんじゃねえかと。そう思ってはらわたが煮えくりかえりそうだった。”こいつは自分の事しか頭にない”んじゃねえかって。
「私の中に希望はねえよ。少なくとも今はな。シャトー、お前さ? 狂気って信じるか?」
「狂気…? ええ。信じますわ。」
「はい。っていう意味でいいんだな。」
「はい。信じます。狂った人がいる事は証明する必要がありませんわ。」
「その膨れ上がる狂気にのまれたとしても抗う事を辞めず、偽の狂気としててめぇに刃を振るうだろう。」
(…なんですの?)
シャトーの体には違和感があった。ぞわぞわとする感覚。自身の体を見ると馴染みのないマークが刻まれている。
(まずい! さっきの質問が発動の条件か…!)
「なっ、まさかさっきの質問はそういう事でしたの。」
「気づくのがおせえよ。てめぇを殺すには自分の命を差し出さねえとな!命撃・狂気の証明。」
(こいつは危険すぎるが…しょうがねえよな。お前をぶっ殺せば仲間が笑顔で村に帰れるんだからよ。
私の命はこいつを倒すためだけに使わせてもらうっ!!)
「こ、これは私も知りませんでしたわ。」
グサッ!
唐突に自身の左腕に狂気斧を突き刺すミーコ。
当然発狂したいくらい痛いがそれと同時にミーコの左腕に異様なマークが刻まれる。
「てめぇの左腕は確か折ったんだっけ? どうせ使えなかったんだからいいだろ。」
「一応お聞きしたいのですがこのマークが入るとどうなるんですの?」
当然何もないわけがない。この命撃を喰らった箇所は”一生使用不可能”になる。
「一生機能しねえようになるな。私自身での攻撃では一度しか使えねえみてぇだが…」
ハッタリなんかではない。そう感じたのは彼女が瀕死ながらにも訴えかけてくるような目の鋭さにあった。自身が死ぬくらいなら相手に効果を隠しておいて一矢報いたと思わせたいという奴もいるだろうが果たしてこのような状況かつ狐人がそこまで考えるだろうか…
その時。思いがけない人物が入ってきた。扉を開ける音、それが聞こえた瞬間まずいと。シャトーは入口の本棚を動かすのを忘れていた、そう思った。仕方ない…もうこうなったら…
ーーーハブのプレートの部屋、入口ーーー
フォル「ここ。リオネちゃん! ここ嫌な予感する。」
リオネ「分かってる…そのドアは? 中見て。」
「何もない…多分トイレ…? かな」
「じゃあ奥に…本がいっぱいあるとこ怪しい…あ!あんなところに穴が。」
リオネは部屋に入り数秒でその怪しい入り口を発見。
あそこ! 誰かいる!
そんな思いを感じ取りフォルが先に走って穴の中を覗く。その中にはミーコとシャトーがいる。シャトーは自身の右腕の爪を伸ばしてリオネの首に突き立てている。
フォルはそれがミーコの体と理解した瞬間咄嗟に体が動こうとしたその直前。ミーコの体、いや手をよく見ると人差し指と親指でわっかを作るグーサインのようなものを出していることに気づいてさらにその後×印を作るように今度は人差し指と親指を交差させていた。無理に作っているサインではあるが意図はなんとなくわかった…黙っていよう。
ミーコ「はぁ…はぁ…てめぇいつまで前向いてんだぁ?」
その時シャトーは咄嗟に驚いた。
「私が能力の効果を説明したのは何も一部分使えなくして終わりじゃねえぜ。
誰も回数なんて言ってねえんだからな。んで、私が生きてるってことは。あんたが思いきり突き刺してくれた爪の数々。それは私のダメージとしてじゃねえ。一気に首を致命傷にするレベルのダメージにしちまった事であんたの首が次は使えなくなってねえか?」
シャトー「な…そんな! 確かに今少し慌てて首に突き立てましたが…はっ!」
シャトーはここ何年も生きて来て”二度目の冷や汗”をかいた。
「首が…動かない…チッ。狐人の他の方々も集まってきそうですわね。こうなったら…透血結界解除。」
(仕方ないですわ…この結界を解除したが最後。狐人はこの屋敷を燃やせる…だがその前に何としてでも連れ出しますわ)
「結界術の神髄をお見せいたしますわ!」
登場人物
ミーコ
フォルよりも先にシャトーに出会い自分が倒せばフォルも仲間も傷つかずに済むという信念のもと
シャトーに戦いを挑む
能力:狂気斧
相手を斬りつけると斬りつけるダメージとは別に精気を吸い取るようになる代わりに携帯している度に能力者当人も精気を吸われ続ける諸刃の剣ならぬ諸刃の斧。
命撃:狂気の証明
発動条件は1.に能力者本人が「私は狂っているか? もしくは 狂気を信じるか?」と質問する。
2.に相手が「はい」と答える事により発動条件が整う。
効果として”能力者当人が自身の傷をつけることによる部位を一生機能不可能にする”
”相手が能力者を傷つけた部位がその相手自身の一生使えない部位として映り機能不可能にする”
それぞれ一度ずつ発動して命撃が終わる。
かなり強力な能力ではあり、能力者当人にこの二度のダメージはいかないが質問に答えた相手のみが対象であり1対1でないと厳しい能力であることに変わりはない
シャトー
とんでもない力をミーコに感じつつも生かしておくのはどのみちまずいと感じ
ミーコは仕方なく殺す事を決意する
フォル、リオネ
二人は六輪のNo.2、ウーペリの能力によって囚われていたがウーペリ自身が気絶したことにより能力が解除されその後嫌な予感によりハブの絵が描かれたプレートの部屋に行き
本棚がずれた場所に穴が開いていることを発見。そこをのぞき込むと…?
お久しぶりです。最後に上げたのが7月まつですのでもう三か月間が空いてしまいましたね。
ここからは新しく結界術等々も登場してきます。もちろん最初から構想していました。シャトーが狐人をお屋敷に招き入れるのに何か少しでも抵抗され火が燃え広がったらめんどくさいどころではありませんからね。ここからこの術をどう発展させていくかお楽しみください。
度々間が開いてしまってすみません。自身の小説に注力したい限りです…




