屋敷編.第五章 もう戻れない
フォル「展示室の奥に隠れていたのはいいけど、こっちは時間がなくて三人になっちゃったね。あっちは結構負担じゃないかな?エイちゃんも戦闘にはあんまり向いてないだろうしほかの三兄弟は本当にまだ何もみにつけてなかったみたいだし。こんなこといったらあれだけど4:4で別れるべきだった」
デク「君が僕と同意見になることは一生ないと思ってたけど意外だね、僕も実はそう思っていた所なんだ。」
フォル「あんたは相変わらず余計な一言が多いな。」
デク「それはそうと、このまま先に進むにしても扉は一つしかない。進むのはあんまり得策じゃない。構造も分かっていないのに待ち伏せなんぞされた日にはもうおじゃんじゃないか。」
クラゲ「いいや、その可能性は低いかな。」
デク「はい?君は何を言ってるんだ。」
クラゲ「いや、この屋敷の構造が分からないのはその通りだけど少なくともさっきのシャトーって人の態度から察するにくまなく屋敷に仕掛けを施しに行くかそれかいるかはわからないけど手下を道に配置させておいた方が絶対に効率がいい。あくまでいる前提の話だけど、それでも他の五人だって別の部屋に逃げてるわけだしそっちの方が人数は多いし私たちのためにあのシャトーが待ち伏せは効率が悪すぎる。」
すごい、少なくともそんな考えは一切なかった。確かに待ち伏せするとはいっても物置部屋は隠れていることがばれないように最大限工夫しているからこの先での待ち伏せはちょっと考えづらい。先に行っているかもしれないし。
フォル「クラゲちゃん凄いね、そこまで頭回らなかったよ。」
デク「ま、まあいいよ。ちょっと気になることがあるんだけど。さっきそこで見つけたこのバチバチ言う物を手に入れたんだけどこれはなんだろうね?」
こんなの初めて見た。先端に銀のとげが二つ付いてて、持ち手の近くにボタンがある。
フォル「これは…?」
デク「わからない、けどさっき間違えてボタンを押したら電気が流れたような気がした。」
クラゲ「デク君何それ、物騒すぎる。捨ててよ怖いな~。」
デク「ごめんごめん、後で捨てておくよ。展示室にあるってのもなんか変じゃないかw」
そういって展示室を後に三人で次の部屋に進む。
三人は目を疑った。なんとも初めて見る光景。さっきは逃げるので精いっぱいで入り口のところの豪華さになんてまったく目がいかなかったけどここの廊下は本当に派手だ。
上に飾ってある無数の電球がついたようなオシャレな物は何だ?窓ガラスが綺麗すぎる。
三人が放心しつつ無言で歩きながら進んでいく。
??「あんれ~?話が違うなぁ!まぁいいや!」
デク「危ない!」
天井に張り付いていた火傷の後だらけの犬…?が現れた。
フォル「だ、誰だ!」
??「僕は墓犬。六輪の一人、ここの廊下の番人を任されてんだ。そりゃお前ら、どの場所にも俺みたいな番人はいるわけだが、すんなり通れるとでも思ったか?お~?www」
圧倒的な存在感、ここまで皮膚が焼けているのに生きているのはすごい。傷だらけ、皮膚は黒く、全身犬の見た目をしてのうのうと人の言葉をしゃべっている事に驚いた。
デク「なるほど番人か、じゃあここは君を倒すまでは通れないわけね。いいよ受けて立つよ。」
墓犬「ま、そうなるね。」
この三人ではまずい、まだ僕も能力という能力を身に着けているわけでもない、デク君も攻撃できる能力があるのか分からない、唯一の頼みのクラゲちゃんならなんとかしびれさせられるけど倒すまでにはいかない…この状況は非常にまずいと言う思考と同時に焦ってきた。
ドアは目の前。しかし目の前に立ちはだかる四足歩行の言語をしゃべる犬。
デク(クラゲちゃん、僕が気を引くからその間に麻痺をする尻尾を思いっきりたたきつけて欲しいんだ)
クラゲ(おめーらビビりすぎだよしかも男二人そろって。大丈夫だよどうせここには私しか攻撃要因がいねーんだ、任せてくれ)
フォル(いや、僕が分身を出す、デクは何もしなくていい)
デク(なるほど!じゃあすぐに頼む)
墓犬「お?なんだ?一番臆病そうなおめーから相手してくれんのか?」
フォル「僕が、僕がやるしかないんだ!鍵となる分身!!!」
墓犬「へぇ、あんたが話に聞いていた一番希少な狐人のタイプ、幻炎種。こいつを蹴散らせば見事俺もシャトー様に認められるってもんよ。ワヴォ~~~~~ン。」
雄たけびとともに火を吐くみたいだ。それを華麗に分身を作りながらかわしていくフォル。こんな廊下ではかわすのも精いっぱい、曲がり角で助走をつけるためにクラゲはタイミングを見計らっている。
墓犬「んだよ分身を出すしか能がねえのか?」
と喋っていたその時、デクが炎をはいている最中の墓犬の視界が狭い事を利用して、横から入り焼犬に右手で触れたとたん、焼犬は炎を吐くのをやめた。
墓犬「なんだてんめぇ!?なにをしやがっっっ!!!???」
今だと言わんばかりに奥から猛ダッシュで駆けつけてきたクラゲが尻尾を焼犬めがけて叩きつけた。
墓犬「グ八…これは…体が動かん…」
フォル「はぁ、、、はぁ、、、危ない…全部分身が喰らってくれたからよかったけど。」
デク「いやいや助かったよ、ありがとう。とりあえず次の部屋に急ぐぞ!」
墓犬を後に、僕たちは即座に別の部屋に移動した。
次はよく見るとL字の部屋だ、ドアは2つ、1つは今にも壊れそうな白いおんぼろドアがひとつ。もう1つは別にそうでも無い。
デクがそっとドアを開けて中を覗く。
デク「どうやら庭…?みたいだな。ここでなにかないかちょっと探してみる。クラゲちゃんかフォル君は見張りとそのおんぼろのドア中を探索よろしく頼むよ。」
フォル「おっけー。じゃあ僕はこのおんぼろドアの中探すから見張り頼むねクラゲちゃん。」
クラゲ「あい。」
庭中
デク「この屋敷は外に至っては本当に異臭がすごいな…。ん?ここから出られないかな?」
そうやって鉄格子を見上げてみるも狐人の背丈ほど(160cm)くらいの高さであり無理ではなかった。
デク「ただまだ他にもたくさんの仲間がいる…なるべく多くの仲間を助けてここに来れば出られそうだ…ただマークしておこうにも書く物も紙すらない。当然か。まあいいや。ん?何かある。」
デク(除草剤…?なにかに使えそうだ)
除草剤を手に入れた
デクはそう言って庭を後にする
デク「クラゲちゃん大丈夫かい?」
クラゲ「大丈夫。フォル君はまだ中にいるよ。」
デク「そうか、それより聞いてくれ……」
おんぼろドア中。トイレ
フォル「うーん…何も無いな。汚いだけだ。」
そう行ってトイレを後にする。
フォル「なーんもなかった。ただのトイレだよ。」
デク「そうか、ありがとう。僕も新しい発見ができた。この除草剤。なにかに使えそうだ。それとね……」
登場人物
フォル
デク
クラゲ
墓犬(六輪の1人)