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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
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屋敷編.第四章 作戦会議

 みんなの能力を聞いてから作戦会議を始めようとしていた。

フォル「デク、君の話は分かりやすい。みんなの能力を説明してくれ」

デク「OK、僕はこの右手にのみ宿る力、恐らくだけど能力を無効にする」

フォル「なぜわかるんだ?」

デク「シグマで試したんだよ、あいつの透明能力が僕が右手でどこにいるか確かめたときに変な感覚と共にあいつの能力は解除された、でも右手のどこまで効力があるかまではわからない…ひょっとしたら指だけかもしれないし手のひらまでならいいかもしれないし腕全体でもいいかもしれない…とにかく効果は曖昧だ。次はボン。こいつは驚いたよ、流石実力者だ。能力も底知れない。」

ボン「流石に照れるな」

デク「こいつの能力は狩炎種との相性も抜群、手から出した火を爆発的に膨れ上がらせられる。とんでもないでかさにもなる。ただし、ボン君はまだ慣れてないから乱用は禁止。というかここから抜けたら僕と一緒に行動しよう。一番怖いからね。」

ボン「それはいいがおめえ、いい所でその右手で触れてくるのは無しだぜ。分かったな?」

デク「時と場合に寄るな。それより次はエイちゃん、エイちゃんは戦闘には向かないけれど実はめちゃくちゃ大切な役割だ。「テレパシー」っていう言葉を聞いたことあるかい?僕もさっき本で読んだばかりだから説明が難しいんだけど脳に直接"語りかける"能力なんだ。」

 うん、全く分からない。自分から言いだしたけど能力を聞くのはここまでにしておこう。

フォル「デク、申し訳ないんだけどもう説明をやめてくれ、頭がパンクしそうだ。」

デク「君にはものすごい天性があるけどその代わりちょっと馬鹿な所があるな。」

フォル「おいおい待てよ、確かに馬鹿だけどそれを差し引いても能力っていう新しい知識についていけてるだけでもちょっとは褒めてくれよ。」

デク「うんうん、よくできました。じゃあ作戦会議だね。」

エイ「ちなみに私はある一定の範囲にいる仲間一人にしかテレパシーを使えないから察知したら絶対他の狐の子に教えてあげてね!」

フォル「ちょっと待ってくれ、デクの能力は分かるけどエイちゃんはどうやって能力を試したんだ?この狭い檻の中じゃ範囲も何もないと思うんだけど」

エイ「違うの!私が能力を使っている間、暗闇みたいなところにこの狭い檻の中にいる全員が緑色の形をした状態で私には意識できるの!そんで私が皆に能力の説明をした後に私が目をつぶっている間にみんながバラバラに並んでもらって左から何番目の子を意識して話しかけてみたらクラゲちゃんで、私が意識した言葉が全部伝わってたの!!!それで大切なのはそれだけじゃなくて、緑色の輪っかみたいなものが暗闇の中でも目の端で捉えられるんだ!だからこの範囲なんだなあってなんとなくだけどね!」

フォル「長々とありがとう、そうか、これは重要だね」

クラゲ「ねえ、いくつか気になる点があるんだけど…もしかしてあいつ、ここの主。あの女、もしかして私たちにわざとあの本を持ってきたんじゃない…?明らかに本のタイトルからそうとしか思えないんだけど。」

デク「僕もそう思う。とりあえずわざわざ鉄格子をフォル君に閉めさせたのは、あと数分で来るであろうシャトーを油断させるんだ。あえて俺たちが出られるのに出ていないのは皆それぞれの能力を把握したうえであいつを確実に閉じ込められる作戦を思いついたからだ。そうすればあとはメンバーを探すだけ。さっきフォル君は上の墓石を動かしてこの檻に入ってきたね?」

フォル「うん、そうだけど。入って檻の中をのぞいてたらずずずって閉まったね。」

デク「そうだ、それを利用するんだ。あの仕掛けだときっとあいつはここの檻を利用することがないから自分が出られなくなるなんて思ってないはずなんだ。だからあんなに開ける仕掛けを推してから閉まるまでが短いんだ。それを利用するときだ。俺たちで仕返しするんだ。」

フォル「どうやるんだ?」

デク「クラゲちゃんの能力さ。」

 クラゲ、癒炎種であり薄青色の傘で尻尾が覆われているのが特徴的。

クラゲ「んまあ、成功すりゃいいけどね。この尻尾は超強力な麻痺の性質を持つんだよね。ただ単純に使うだけなら尻尾をたたきつけりゃ麻痺するんじゃない?本に書いてあったのは尻尾の振り方で麻痺の強度を高めるらしいけどなんせ私は実験相手もいないからね、てかさすがに仲間じゃ実験も出来ねえからとりあえず思いっきりたたきのめしゃあいいだろ。ちなみに癒炎種独特の緑の炎をまとわせた状態で麻痺の能力を使えば心臓マッサージにも使える…だったっけな?」

デク「うん、合ってるよ。これで不意を突いてもらう算段さ。まず僕たちが座っている場所とは真反対の棺桶?みたいな場所にクラゲちゃんに入ってもらう。中を見たけど相当汚かったから何かが入っていたんだろうけど長年使われていないみたいだね。んで、そこの近くで寝ているふりをしてもらうのがボンとタカだね。次に連れていかれるメンバーを堂々を教えてくれたもんだから助かるよ。流れではこの三人以外は今いる位置で構わない。とにかく三人は準備してくれ。今すぐだ。」

クラゲ「おー。汚いところに入れるってことは覚悟してるよな?デク?えぇ?貸し1だからな?おめーは私と一緒に行動確定だ。何かあったら守ってな。」

デク「仕方ない、クラゲちゃんがいないと檻から出られたとしても全員がまだ能力を使いこなせてない以上は檻の外ではちあって混乱するのだけは避けたいからね。そのためのシャトーを閉じ込めて時間を確保する作戦なんだから。クラゲちゃんは僕とあとで行動しよう。」

タカ「うーん、とりあえず想定外のことが起きて連れていかれるのは覚悟しておくとして、どうやってクラゲちゃんが出てくるタイミングを合わせる…というか僕たちが連れていかれるかもしれないタイミングでクラゲちゃんが棺桶から出れるようにするんだい?」

エイ「うんうん!それなら私のテレパシーの出番だね!的確にクラゲちゃんに合図を送れるのは私だけ!テレパシーを送るときにさっき皆緑の形で暗闇に浮かぶって言ったけどその時の姿勢はわかるんだ!だからクラゲちゃんは棺桶で寝そべってくれればそこに意識してテレパシーを送れるんだ!タカくんはボンくんと一緒にいるから二人近くに見えるわけだし、問題ないよ!」

デク「そういうわけだ。じゃあ三人共頼んだぞ。」

ボン「任せろ。ここから出て仮にあいつの麻痺が溶けても俺の試作段階ではあるが、能力をお見舞いしてやるからよ」

タカ「頼りになるなあ、出たら一緒に行動したいや。」

ボン「構わねえぜ、何人でも守ってやらあ」



昼の13時

 ズズズズズ…カツカツカツ


 キィィィィ…

シャトー「さてと、行きますわよ。起きてくださいまし。お二人さん。時間ですわ。」

タカ「俺たちをどうするつもりだ…」

シャトー「そんなことを聞いてどうするつもりですの?ちょっとした実験に付き合ってくださいましたら洋館から返して差し上げますの。だから二日に二人を連れて行っているわけですの。帰りの道もこわくないでしょう?」

 と、その時。シャトーの体に電撃が走る。

シャトー「ガッッブヘェ!?」

ボン「クラゲ!ナイス」

クラゲ「どうでもいいけどこの棺桶の中汚すぎるのよ。早く出ましょ。体洗いたいわ」

フォル「呑気だな、後でにしろ」


 一斉にみんなして階段を駆け上がる。きっと思いもよらない出来事だったんだろう。シャトーにとって思いもよらない事。不意を突かれるのは。

 階段を駆け上がりつつ、墓から出て久々の解放感に皆は歓喜しながら閉まる墓を見続けていた。

ビスケ「マジで助かったよ。フォルがいなかったらボンという実力者を失ってた。でも僕の能力は大したことないし、まああと一日遅くても全然平気ではあった…と思う。」

ヤソ「まあ、俺たちしばらくまともな食事を口にしてないからな。とっととここから出」

バコォンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 墓が壊れた。皆は墓の部屋の入口であろうドアに手をかけたときだった。

シャトー「"血塗られた巨大なギガブラット"!!!

おいおい、やってくれたなあ???恐らくは私が渡した本で学んだんだろうけど二週間弱でよくそこまでできたもんですねえ???????」

 明らかに人格が変わっている。というかあれが本性か。というかなんだあの片腕だけ変容している手は。明らかに入り口をふさぐ要となっていた墓を壊してしまっている。というか異様にでかい。

フォル「逃げるしかねえ!」

 重い扉を力任せに開けて、全員が踊り場に出た。

ボン「俺は扉を押さえつけておく!とりあえず二手に分かれようぜ。俺チームはどいつだ?タカとあと…ヤソ!考えてる暇はねえ。エイちゃんも来てくれれば助かる。」

デク「それでいい、じゃあフォル君チームは僕とクラゲちゃんで大丈夫だ。屋敷の構造が全く分からないけど一階の大広間からつながってる部屋はここの墓の部屋とあと一階の右と左の両方大きめの扉か二階の…ダメだ!確認してる暇がない!声がもう聞こえてきてる!ここはかけにでるしかない!」

 ドンドン!ドンドン!鉄の戸を叩く音がする。もうボンも限界みたいだ。

フォル「OK、逃げる準備はできた、いっせーので分かれよう。ボンのために三人は踊り場から見て右の扉を開けておくんだ…いっせーの!!!」

 ダン!

 ボンは猛ダッシュで階段をくだり皆のところに追いつき、食堂に逃げた。

 シャトーは余裕そうな顔つきで言う。「許しませんからねえ…クラゲ…覚えましたからね…あなたは殺すまで忘れません。殺しても標本にして飾っておきますからねえ…私に傷を負わせた狐人は初めてですよぉ…不意打ち…クック…アハハハハハハ」

 シャトーは食堂とは反対の展示室の扉に向かう。

 バタン!思い切り扉を開けたが誰もいない。

シャトー「もういなくなりましたか…逃げ足だけは早い様ですねえ…」そういって次の扉を進んでいく。

 小声でクラゲが「もういなくなったな」というので「そうみたいだね」と返す。

展示室の物置部屋に隠れていた。咄嗟にここの部屋に入ったときに目に飛び込んできた大きな戸棚が怪しくて三人で一斉にその戸棚をどかそうと思ったがデクが機転を利かせて、あまりに戸棚の位置が動いているとすぐ気づかれるため狐人一人が入れるくらいのスペースまで空くように押した。すると暗い物置部屋があり、そこに潜んでいたのだ。

 ここからが本当の地獄だった。




登場人物


フォル

リリアン・シャトー

怒ると人が変わったかのような変貌で攻撃してくる館の主

ボン

今は試作段階だが、手に意識を集中させて火を拡大させて放つ能力。仲間を救うためにも間違ってでも洋館を燃やさないように

デク

効果範囲はわからないが、右手のある部分だけにある能力を無効にする能力。汎用性あり

エイ

能力はテレパシー。目をつぶっている間だけ、ある一定の範囲の一人だけの脳内に語り掛けることが出来る

クラゲ

薄青色の傘がついた尻尾で叩きつければ大抵の生物は麻痺する。勢いが強ければ強いほど麻痺の精度が上がる

ビスケ・タカ・ヤソ

仲良し三人組


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