別館編.第十四章 恵まれてるって何?
ーーー22日目 元遊技場部屋にてーーー
デク「…ふわぁ~良く寝た。」
ジーナ「んね。ほんとどうなるかと思ったんだけど。」
アレラ「ご、ごめんなさい。」
「あ、珍しくしょげてる。」
「ほんとね。しょげてるしょげてる。」
「ほんとだよ。一時はどうなることかと。」
半ば暴走状態だったイモーネが部屋から出た後ミーコを見つけ、それも終わりひと段落して部屋にある食事をとりあえず適当にむさぼっていたら癒炎種であるエイが入ってきてアレラを回復した
ーーー昨日ーーー
ジーナ「行ったよ…ミーコの奴。」
デク「そりゃ行ってくれなきゃ困るよ。。。こっちにはけが人がいるっていうのに。」
アレラ「け・・・けが人って。私は多分悪い人なのにそんな」
「悪い人? なんでそうなるの? 僕たち仲間だろ。」
「でも…でもさっき村に帰ったら今までと同じ暮らしができるとはみたいな」
「ああ、許してあげて、デクはついはっきり言っちゃう性格だから。はっきり言いはするけど本心とは別なんだって事。」
「ど…どういうこと…?」
「もうジーナは言わなくていいから。ややこしくなるよ、別に僕が言ったのはあくまで事実。アレラがどうなるかという話とアレラが仲間かどうかは本当に別問題なんだ。」
「デクは変に強く言っちゃうからね。私が代わりに謝るよ。」
「そんなことよりその脇腹の怪我…だいぶ深いみたいだね。」
脇腹で切られた怪我は少しだけ白い光が見えていた。
「こんな傷見たことないわ。なんか不思議ね。」
「うん。おそらくイモーネちゃんの能力だろうけど普通の治癒で治るのかな。僕たちで出来ることはしてあげる。僕たち狐人。仲間だろ?」
「ありがとう…うぐっ。本当にありがとう、ここまで優しくされたの生まれて初めてで」
「そんな、アレラは村で初めての三姉妹で生まれてきたんだよ?」
「そうなんだ、分かってるんだ。さんざん言われてきた、恵まれてるんでしょって。。。分かんないんだ。恵まれているっていうのがどういうことか…それだったら私はタぺとロペの兄妹の方が羨ましいな。。。えへへ。わがまま…だよねきっと。」
アレラは優しくされているという感覚が分からなかった。三姉妹の中での長女という立ち位置。そして村唯一の三姉妹という周りの村人たちからのプレッシャー。いつしか笑顔が絶えないような子になってはいた。なってはいたがアレラは自分のキャラが強過ぎて優しく接してくれる子は何人もいたが周りの子たちはアレラのキャラに完全に飲み込まれてしまっていた。
「私は…」
「ジーナちゃん…?」
「私は多分気持ちわかるよ。貴方の気持ち。」
「別に恵まれてようが恵まれて無かろうが関係ないわよ。恵まれてるからなんだっての。そんな言葉と自分を比較して落ち込む可能性があるくらいなら恵まれた環境なんて考えない方がいいのよ。」
「ジーナちゃん…」
「私もこんな派手な狐人だけどさ。思うところはあるのよ。ま、とりあえず音楽室ってところで話に出てきた位置を教えている人物。教えてくれない? もういいでしょ私たち仲間なんだし。」
アレラ「それは無理だよ…」
デク「教えるのに無理なんてことはないだろう。教えるという行為自体に無理という物が介入するとすれば1.当人の絶対に教えたくないという意思。2.教えることによって生じる害が口を封じる」
ジーナ「ねえデク! 流石にデリカシーないよ!? 女の子が無理っていうんだから無理なんだよ!」
その時ドアをバン! と開けて入ってくる人物がいた。
デク「君は…エイちゃん…なのかい?」
エイ「助けに来たよ皆…! テレパシーで探ってたら集まってたみたいだから来たよ!」
「癒炎種の希望だあ~~~~本当にありがとうよおお~~~。」
「ほんと久しぶり。ありがうエイちゃん…」
「デク君なんで泣いてるの? えと…ごめん久々すぎて分かんないけどそこに横たわって怪我してる
人は…あ! 三姉妹の…長女の方! あと青一色狐人でおなじみジーナちゃん。大丈夫!
私が助けてみせる。」
登場人物
アレラ(癒)
イモーネの奇襲により脇腹に剣らしきものによる傷をつけられた。傷口は白い光が少し見えている
ようだ
ジーナ(狩)
全身青い体毛で覆われ且つ女性では珍しい狩炎種の狐人。
自分は恵まれた環境で生きていなかった境遇ではあるが恵まれるという事がどういうことかまでは理解しており、アレラに寄り添う
デク(狩)
物事ははっきりいうがそれに感情は含めないことが多い。事実と感情で述べるものはまた違うという持論の元話すため時に人を怒らせる。ただ狐人の中でずば抜けて賢い
エイ(癒)
テレパシーを用いて別館の元遊技場部屋に駆け込んできた狐人。
アレラを除いた二人は狩炎種の為回復が出来なかったのでタイミング完璧に駆け込むことができた
狐人の種類をもう一度おさらいしておきますと、狩炎種、癒炎種、幻炎種の三種類います。その中でも一番多いのが狩炎種になります。男性にめちゃくちゃ多く、女性は逆に癒炎種ばかりですが、たまに狩炎種の女性もいるため、男性だから狩炎種とは限りません。
ただ少し前に出したようにこの屋敷には特殊な結界が張られているため、炎などで燃やすことは絶対に不可能になっています。もちろん元凶を倒せば無くなるのでしょうけどシャトーの強さが
どれくらいのものかまだ狐人達は完全には理解できていないようです。
見守ってあげたくなります。