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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
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屋敷編.第二章 屋敷に住みつく不思議な女の子

 キィィィィ…バタン

 フォルにとって屋敷という大きな建物を見るのは初めてだった。

 入った途端両方には大きなツボ、こんなのも見た事ない。

 目の前には2回に続くであろう大きな階段があり、そこの大きな手すりの近くの椅子に腰掛けた少女がいた。

 リリアン・シャトー「ようこそ私のお屋敷へ…よくここへ辿り着けましたわね、私の名前はリリアン・シャトー、シャトーでいいですわ。ガンス、あなたは部屋でゆっくり休んでくださいですわ。」

ガンス「わかりました、お嬢様。」

 なんか独特な喋り方だ、慣れそうにない。

「よ、よろしくお願いします 僕今日は普通に狩りをしてただけなんですけど道に迷ってここに来ました。」

「そうですか、それはそれは災難でして、ぜひ泊まってらっしゃいな 帰り道くらい教えてあげますわ。」

「ありがとうございます、なんなら少しここのお屋敷少し見て回ってもよろしいでしょうか。」

「いいですわ、お客様なんて今どき珍しいものですし。」

(迷っただけなんだけど)

 僕は安堵し、この屋敷もついでに案内してもらうことにした。


 僕は一階から見せてもらうことにした、今は夜の11時を回ったころだろうか、とても薄暗く外ではカラスの鳴き声が聞こえていた。

 入り口から入って左の部屋はとても広い食堂のようだった。

「ここは食事をするところですか?とても広いですね。とても一人分とは思えない。」

「ま、寂しいですわね、寂しいけどもわたくしには執事がいる故、問題ないですわ。」

「は、はあ、そうですか。」

 僕はそんなことではなく、この屋敷にこの時点で違和感を感じていた。

 とても一人や二人で住むことを考えていないような構造の屋敷だと、しかもよく人を招くのならわかるけどさっきお客様は珍しいって言っていた・・・。

 てことは昔は来ていたってことなのか・・・?

 食堂の奥にはなんだろう、火がついているなにかがある。 

 とても物珍しそうに見ていると、シャトーが声をかけてきた。

「どうしたんですの?そんな物珍しそうに。それは暖炉ですわ。使ったことないんでして?」

「いやその、こんなもの見たこともなくて、何に使うのかなと思って。」

「部屋を暖めるためのものですわ。知っておくとよくってよ。」

 暖炉のすぐ右にはドアがあった、屋敷というだけあって部屋はそうとうありそうだ。

 部屋に入ると狭い廊下みたいなのがあり、そこで見えるだけでも二つのドアがある。

 ドアだらけだ。

「あ、そうそう。大事なものをしまっている部屋などは部屋に鍵がかかっているとは思うけど決して入らないようによろしくですわ。」

「わかりました。」

 そういって右奥に進むと何か鉄の柵みたいなものの前でシャトーさんが立ち止まった。

「ここはなんですか?」

「エレベーターというものですわ、これで上の階に行きますわ。」

 なるほど、これで行き来出るのか、便利なものだなあ。

 チーン。エレベーターが二階についたようだ。

 すごいあっという間だったからあっけにとられていると「ボーっとしてないで、行きますわよ。」

「は、はい」

 そういって奥のドアを開けると大きな鏡が一つ見えた。

「あっちには何かあるんですか?」

「あっちは危ないからやめたほうがいいですわ、遠回りになってしまいますけど今いい所を思い出したのでご案内しますわ。」

 なんだろう、鏡の部屋 すごく気になった。

 あそこを曲がったら何があるというのだろう。

 そういいながら近くのドアを開けたらさっきの食堂の二階の部分のようだ。

 とても広い、上からさっき通った食堂が見渡せる感じですごい新鮮な感情が沸き上がった。

 そこを抜けて一番最初に入ってきた大広間に出てきてシャトーについていくと、今度は下の階の入り口から見て右の部屋を案内してくれるみたいだ。

 そこも食堂に続くドアと同等の大きさのドアをあけるとちょっとの明かりで照らされたいくつもの絵が飾られていた。中央にはなぜか像みたいなのが置いてあった。

 奥のドアを開けようとしたシャトーを止めて聞いてみた。

「すいませんシャトーさん、この像はなんて言う像なんですか?」

「ああ、それ。それは題名(恐怖)」

「恐怖、ですか?」

「そうですわ、特に深い意味もなく作ったのですわ」

 確かにこの像の人は、人ではあるけど狐人とは違うような雰囲気がする。

 フォルはそのうす暗い部屋を後にし、シャトーについていった。

 次は長い角のある廊下のようだった。

 進んでいくたびに棚の上にある金の壺があってすごい魅入られるような感じがした。

 廊下を進んでいき、ドアを開けるとこれまたうす暗い感じの外が見える大きな窓がある部屋があった。

 廊下から出てきて一番近いドアを指さして「ここが浴室、お風呂ですわ。案内した後ご自由に入りなさって」

「何から何までありがとうございます、あとで入ります。」

 浴室の場所を把握した後、大きな窓を眺める余裕もなく先に進んでいくと、ドアに入る前に後ろの小さい小部屋も紹介してくれた。窓の前に凸の形をしたような壁があるとは思っていたが部屋だったのか。

 入ってみるとなんもない部屋が一つ、どうやらもう一個奥の部屋らしい。

「ここはフォル君に用意した寝室ですわ、案内が終わった後ここにきてゆっくりお休みいただけたらいいですわ。」

 そこの案内も終わると元居た大きな窓の部屋に戻り、すぐ目の前のドアを開くとこれまた薄暗い廊下のような場所だった。

「そうそう、ありましたわ、左奥の部屋が私が大切にしている絵が飾られていますわ、入りましょう。」

 そう促されてはいってみるとその部屋はさっきの部屋と違い明かりがすごい照らされていた。

 思わず魅入ってしまった。

 部屋は狭めだったけど、絵一つ一つが手入れされてるかのようにきれいだった。

 奥まで行くとまだまだ絵はあるようで、曲がってみると、普通に絵はあった。

 中でも行き止まりにあった大きい絵には完全に魅入られてしまった。

「どう?お気に召しましたですの?それは(最後の晩餐)というタイトルですわ」

「さいごのばんさん?」

「今は2010年?かしらね、その2010年という年号というものができたのがそもそもイエス・キリストという人物だそうですわ、その人物が処刑される前の日に行われた十二使徒、ちゃんというと最も優れた12人の弟子達の最後の食事を描いたそうですわ。」

「へえ、てことは2010年前にキリストって人が死んだんですね。」

「そうですわ。」

 不思議そうに絵を眺めているとふと奥から、悲鳴のような声が聞こえてきた。

「けてぇ・・・けてえー・・・」

 なんだろう・・・気のせいだろうか?

 気のせいだろうとは思うが、なにか胸騒ぎがした。

「さて、帰りますわよ。ここは私のお気に入りの部屋ですので案内させていただきましたけども、私の案内以外では決して立ち入らないようお願いですわ。」

「分かりました。」


 そういって美術室を出るとシャトーとは別れて、僕はさっき紹介された小部屋で着替えて、ありがたくふろに入らせてもらった。

 地獄のゲームはもう始まっているとも知らずに・・・。


登場人物

フォル

ガンス

リリアン・シャトーの執事。タキシードを着ていて、

白い髪とまつげと髭、どこか強そうな風格がある。

リリアン・シャトー

紫色の肩よりも長い髪、特徴的なしゃべり方と水色の目をしている。でも背丈の所為か、どことなく子供のように感じてしまう。


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