屋敷編.第二十二章 幼くして
ー--連れ去られてから20日目 朝7時 図書室にてー--
図書室はかなり広く、二階から入る入口と一回から入る入口と繋がっており、一回図書室は
入って左に人が数人通れるくらいのスペースがあり、右には簡易的な梯子がかけられていて、そこから
二階の方へ出れる。
図書室を見張っていたイモーネもシャトーに連れ去られ、とある実験を施されてからはずっとお気に入りの本が大量に置いてある図書室で寝泊まり用の簡易的な敷布団掛布団をもらって優雅に過ごしていた。
イモーネ「すぴー…すぴー…。ぐがっ!…………ふわぁ~~~起きた起きた。今日も優雅に本でも読んで
見張りとしますかあ。」
見張りという名の実質さぼり見たいなもので見張りというイメージからはかけ離れたくらい自由。
「気を張り詰めててもしょうがないよねぇ~。さて今日は何の本を読もうかなぁ。。。”物体転移技術”。
”怒りのコントロール”。血詰め技術”。などなどここは尽きないねぇ…。」
そうやって本を漁っていながら一時間が経過した朝8時。
コツ、コツ、コツ、コツ。と音を立てて何かが二階から歩いてくる音が近づいてくる。
「…誰ですかぁ~?…あ!プレーンさん!」
プレーン「イモーネか。ちっす。ちゃんと見張り…してないなこれ。」
イモーネ「してないですよ。あんまり気を張り詰めすぎてもあれなので!ゆったりのんびり本を読んで
います!」
プレーン「そうかそうか。今何の本を読んでるの?」
イモーネ「今はですね。血詰め技術という本を」
といいかけたその時、プレーンはイモーネの首を掴みそのまま後ろの本棚へと叩きつけた。
イモーネ「がっ…」
プレーン「申し訳ないね。か弱い少女の首を絞めるってのは心が痛むんだ。すぐ済ませてあげるから。」
イモーネ(え、え、え。な。何でこんな酷い。。。そ、そうか。きっと誰か悪い奴に操られて…だとすると
私がこの人の洗脳を早く解いてあげなくちゃ…!!!)
フッ。イモーネの首を掴んでいたはずの手には何もなかった。
プレーン「おいおい、どうしちゃったんだい?イモーネ。」
イモーネ「そっちこそどうしちゃったんですか!!!操られちゃったんですか!そうですよね!きっと
そうですよね!私たち…私たち!!!」
プレーン「それ以上は言うな。苦しくなるだろう。」
そういうとプレーンも消え、瞬時に目の前に現れるもそれに反応しイモーネも消える。
イモーネ「はぁ…はぁ…。」
イモーネは一階の左の本棚裏スペース、一階入り口扉付近、二階の通路。計三か所を”どのような状況
でも移動できる能力”を持っている。
その名も”三点陣” 。
三箇所までマーキング出来て、そのマーキングした場所に
どんな状況でも意識した場所に瞬時に移動できる能力。リスクとして移動の際に体力を消耗するが、空中に
いようがなんだろうが使えるのが強み。
プレーン「でもさ、イモーネはそれを使いこなせてないね。」
ただし、使い手の体力次第ではその効果を最大限に活かせない。
「それにその能力に直接の攻撃力はない。僕がどんな能力を与えられているか、イモーネなら理解しているだろう?ここには助けも来ない、だからせいぜい楽にしてあげようと思って。」
イモーネ「プレーンさんを…返せえええええええええ!!!」
するとたちまちオーラの様なものを立ち昇らせ、プレーンも異様な雰囲気を感じ取り、構えを取るが
その瞬間図書館の中央に意識していないのに移動させられ、それと同時に即座に違和感を感じる事に
なった。
(う、、、動けない…!!!まずいな。これはどうしたことか…)
その瞬間陽気な声が聞こえてきた。
???「あれれー!イモちゃん!イモちゃんだ!!!わー!!!イモちゃんイモちゃん!」
???「ほんとだー!イモイモ!イモイモなの~~~?」
イモーネ「あ、こ、コラ!入ってきちゃ!」
その瞬間出ていたオーラも消えプレーンは脱出に成功した。
(今のは危なかった。命撃だとしたら凄まじいポテンシャル…やっぱ今始末しておかないと。)
とプレーンは不安を募らせたまま少し様子見をしている。
イモーネ「こら!タぺ!ロペ!入ってきちゃダメだってぇ~…」
タぺ「え!だってイモちゃん楽しそうなことしてたからあ!」
ロペ「違うよタぺ!あの悪い人に攻撃しようとしてたんだよ!イモイモが攻撃するお相手の人は
ぜ~~~ったい悪い人だから!やっつけるんだ!」
タぺ「また正義のヒーローごっこ?」
その瞬間屈みながら話していたイモーネの後ろに即座に表れて攻撃を仕掛けようとしたプレーン。
イモーネは即座に振り向くも拳が眼前まで来て間に合わないと思った。
イモーネ(あ。動きが止まって見える。これが走馬灯ってやつか。私の人生つまらなかったな。どうしよ、
きっとタぺとロペに重大な精神的ダメージを負わせる事になったらどうしよう。。。)
タぺ「イモちゃん!イモちゃん!大丈夫!?」
はっと思うと死んでいなかった自分自身に驚いたのと拳はいまだに目の前にあった。
プレーン「お、、、おい!何をした。」
ロペ「お前なんかタぺの能力でそこから動けないもんねー!だ」
タぺ「えへへへ。ロペ褒めすぎだよぉ。」
タぺの能力は”貼貼物語” 。手から発射される超強力に貼りつくテープを発射し付いた対象に一番近い物に自動的にくっつく。
ロペ「そしてー!!!」
と意気揚々に喋ると異空間から不気味で大きな口が姿を現した。
ロペの能力は”舌舌捕縛紐。異空間から出た大きな口が対象を舌で捕縛し、
その後しばらくしたら自動的に大きな口は異空間に姿を消しベロだけが残る。
双方の力を合わせることで捕縛を確実なものとする最適なコンビ。
イモーネ「す。。。すごー。二人共凄いね。。。そういえばタぺとロペは能力を授かったとだけは聞いてたけどどんな能力かまでは知らなかったなあ。」
プレーン「良かったね君たち。僕をひっとらえてもシャトーは来ないよ。」
ロペ「シャトー様はプレーンさんは”合格”だって言ってたよ!なんでなんだろう!」
タぺ「合格???この人合格なの?私たちめちゃくちゃちゅーじつに働いてるのに合格なんて言われたことないよ!」
プレーン「ふっ。何のことだ。逃げ出した僕が合格なわけないだろう。人違いさ。まあそんなことはどうでもいいんだ。」
イモーネ「どうしたんですか!プレーンさんらしくない。。。」
プレーン「イモーネもわかってないな。そうやってどうせ僕を見下すんだろ。それにお前のそういう…まあいいや。」
イモーネ「さあ大人しく話してもらいますよ…なんで私を殺そうとしたのか。」
ー--同日朝7時頃 本館東一階廊下ー--
アカエイ「困りました。ここはどこなのでしょうか。さっきまで森にいたはずなのに…。」
精鋭隊の一人、アカエイが本館の中にいた。
_________________回想__________________
アカエイ「では遠慮なくフルパワーで!!!」
と言葉を発すると片腕が巨大化し、墓犬もさすがにビビって動けなかった。
墓犬「待て待て待て待て!あんたも狐人だろ!い、いいぜ!情報ならいくらで」
プツッと音を立てると同時にあんまりにも呆気ないためポカンとしていた。
アカエイ「あれ?今何か言おうとしてました?あーあ。潰れちゃいました。やりすぎちゃいましたかね。
能力を使っても加減が分からないので腕を大きくしすぎないようにするのですがあまりにも相手がやる気まんまんだったために手加減なしでやったのですが手が巨大化する時に内に秘めたる炎の音がするので
相手の声なんも聞こえないんですよね…アハハ…」
ー--その頃研究室ではー--
「墓犬!あの役立たずの狂犬め。なんのために置いていったと思ってんだよ。」
ノーザ「まあまあそう怒らずに。それより狐人にあんな能力ありましたっけ?」
「初耳じゃわい。ところでよぉ。あの娘、わしに任せてもらえんか?久々の強敵でうずうずするんじゃ。」
「強敵…ねぇ。てかさ。扉の前で突っ立ってねえで。お前ならわかんだろ?あいつ村にいたんじゃないのか?」
???「はい。存じております。村の中の精鋭隊という優れた狐人三人の隊でほとんど緊急時にしか表に顔を出さない人達だと思います。能力は知りません。」
「なるほど、いざって時の切り札みたいなもんか。にしてもお前ラッキーだな。研究室に入れてもらえるくらい忠実に働いてるもんな。逆に何かあるんじゃねえかってこっちが不気味だぜ。」
???「大丈夫です。私は忠実な僕として生きる道を与えてくださいました。」
「まあいいや。とにかく墓犬の死体を回収するぜ。」
そういうと謎の男は研究室の青いボタンを押す。…がしかし、何らかの形で墓犬に取り付けられていた
装置はアカエイの手についていて、墓犬の死体はそのままにアカエイが館に招かれることになった。
???「どうやらあの狐人が攻撃した際にあの転移装置がくっついてたみたいですね。」
「あーあ。俺しーらね。」
「今お主が押したんであろう?シャトー様にチクっておくぞい。」
「はぁ?てかノーザお前、一緒に怒られてくれよ。まだ三日前の夜に逃がした狐人の件怒られて
ねえだろ?」
ノーザ「そもそもあの部屋には制約があって」
「あれはお前の能力じゃねえだろ。お前にはワープの能力しか備わってない。一人一個。基本だろ。
お前はあの部屋にワープしただけでどうせまたトランプゲームでも仕掛けたんだろ。そんで相手に長ったらしい説明をしてるけどあれ完全に初見に対しては効果抜群ってだけだろ。まあ回復できなくなるってハッタリは案外効くかもしれねえけどな。相手が負けた瞬間ワープの能力を使ったっていう簡単な仕組み
だろうしな。」
ノーザ「そもそもあんただっ」
「いい加減にせぬかお主ら…!!!シャトー様が聞いたら呆れるところじゃぞ…。
まあでもちょうどええわ。あの先ほどの娘はこの屋敷に招待されたも同義。ちょっくらいってくるぞい。」
ノーザ(くそじじいが…もう少しで殺しそうだった、危ない危ない♡)
登場人物
イモーネ
図書室の見張りを任されてる。見張りとは言うけども実質サボり。
プレーン
図書室にやってきた目的とは…?
タぺ(癒)
癒炎種の女の子。ロペとは幼馴染で捕まった狐人達の中では最年少。
ロペ(癒)
癒炎種の男の子。タぺとは幼馴染で最年少。とても元気。
ノーザ
研究室で一人手の爪を噛みながら悔しい思いをしている六輪の一人。