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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
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屋敷編.第一章 奇妙な分かれ道

 フォルは一か月ぶりの狩りに胸躍らせていた。

 そこら辺にいる鳥、猪などは簡単に狩れるし、何よりここの森にいる動物たちは狐族にとって野菜より大事な食材だった。

 村長の気まぐれで行われる伝統行事パーティーに備えるためにも、すべて食べてしまうのではなくある程度は残しておかなくてはいけないのだ。

「よし!今日は猪から狩りに行こう!」

 そういうと自分自身の幻影を三体だして獲物探しを開始した。

 幻影は戦闘だけでなくこういうところでも使えるのでとても役に立つ反面、フォルは能力に頼りすぎる性格故に、ほぼ素手を使わないで狐火.青炎せいえんを使ってばかりいる。

「よっしゃ!猪見っけ!おっ美味しそうな鳥もいる!ラッキー今日は大量だぜ」

 そういって次々と狩りをしていった。

 背負ってきた大きなかごに獲物を詰めて帰ろうとしたその時、ふと思い出した二週間前のあの事件。

 狐族にとっては大きな恐怖を与えた事件、あれについて少々疑問を持っていたフォルは今夜森をくまなく散策しようと思った。

 なんせ大きな森だ、散策って言っても恐らく今晩は帰れないだろう…。

 



 散策してから三時間、もう夜の10時だった。流石におなかが減ったので帰ろうと思っていた矢先、来るときは見えなかったのだが苔だらけの看板が目に入った。

 疲れ切った体で苔をどかすと、古びた文字で「この先危険 立ち入り禁止」と二行に分かれて書かれていた。

「まさか…この先にあの子たちは進んだのか?」

 今まで意識たことがなかったが、森に入っていつもはすぐ左に行くのが決まりだとの習わしだったためか、盲点だった。

 完全な分かれ道になっていたのだった。

 少しだけ…

 魔がさしてしまったのだ。

 そういってフォルは暗い暗い普段は絶対に通る事のない道を進んでいく。

 しばらくするとやけに蝙蝠が飛び交っているところまで来た。

「なんだここは…?蝙蝠なんてこの森に生息したのか?」

 異様な数の蝙蝠にただただ驚くだけだった。

 それに森だというのにここのルートはなぜか誰かが綺麗にしているかのように道が出来ている点も不思議だった。

 この先何が潜んでいてもおかしくない、そう思い唾を飲み、慎重に進んでいく。

 蝙蝠が急に散ったと思うと、なんと目の前に広がる光景に驚きを隠せなかった。

 大きな屋敷がひっそりとたたずんでいたのだ。

「これは村長にも報告しないと…それと遅くなっちゃったな、あの道を通ってくるのに20分足らずだったのに何で誰にも気づかれないんだ?」

 その時だった、扉がキィィィィ…と音を立てて扉が開いていくではないか。

 こんな時間に誰だ!それになぜ人が。

 咄嗟の事で頭が回らなくなる性格のせいか、分身を作って逃げようと考えた。

 だが一瞬で背後に回られていた。

「な!お前何者なんだ!」

「失礼な人ですね、初対面の人には敬語と習いませんでしたか?私はあそこの屋敷の執事をやらせてもらっています。名をガンスと言います」

「失礼しました、でもこんな夜中に屋敷だなんて僕知らなくて、それで驚いて…」

 今でも心臓がバクバクしている。

「それはそれは申し訳ない事をいたしました。村長さんからは何も聞かれていないので?」

「何をですか?」

「ああ、いいんですよ。聞いていないのであれば。それよりもう時間も時間ですしあがって

はいかがでしょうか?」

「で、ではお言葉に甘えて…」



 本当は不安だったが不安よりも好奇心が勝り、この大きなお屋敷。未踏の場所へと足を

踏み入れるのだった。


登場人物

フォル

ガンス


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