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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
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屋敷編.第十八章 ツギハギだらけの幼馴染

 その頃。フォルはただひたすら走っていた。屋敷の全体図など初日に対して歩いたわけでもないから把握などしているわけもなく、それでもこの状況を打破するために西館二階の大きな戸を開けると食堂の二階に通じていた。

フォル「ここはどこだろう…」

 そうやって下を見てみると食堂らしき部屋が見えた。食堂は大広間と同様吹き抜けになっていて下が見えるようになっていた。

フォル「あれは…ビスケ君だろうか…?」

 二階の手摺から何かを考えながら見下ろしているビスケの姿が目に映った。

フォル「ビスケ君…?そんなところで何を・」

ビスケ「静かに…!小声で喋るっす。フォルさんですね。お久しぶりです。」

フォル「ごめんごめん。でも下なんか見て何かあったの?」

ビスケ「ボンさん達が今あのズッチー三姉妹と戦ってます…ついさっきデクさんが妙な技で眠らされて今ピンチ見たいです。」

フォル「ピンチみたいです!じゃなくて加勢しに行ってやりなよ!なんでそんなとこでジーっと見てるだけなんだよ!僕たち戦う種族ってこと忘れたのか!しかも相手は洗脳されてるんだ!僕たちで仲間同士だったことを思い出させてあげなi」

ビスケ「フォルさんはいいですよね。」

 ビスケは大きなため息をつきながらフォルに話す。

「僕たちの種の中でも特に貴重な幻炎種に生まれて、戦う種族だからと誰に向かっても立ち向かう姿。かっこよかった…。僕は三兄弟の中でも一番下。今下でデク君を眠らせていたのも三姉妹の中では確か末っ子だったはずです。それなのに僕はいつまでたっても意気地なし。多分あの人たち食料集めに行ってる最中にばったり会ったんだと思いますけど。僕の為にあの人たち頑張ってるんだからせめて、一番強いあのシャトーに僕は一矢報いたいです…!!!」

フォル「無理だ…」

ビスケ「・・・・・・へ?」

フォル「あの人に挑んじゃいけない。まだ幸い実験されているだけでシャトーは誰も…」

ビスケ「ヤソが死んでました…」

フォル「な…本当…?」

ビスケ「本当です。」

フォル「まさかそれがシャトーの仕業ってことなの…?」

ビスケ「いやそこまではわかりません…」

フォル(実験体をわざわざ自分で殺すとは思えない…かといってビスケ君が嘘をついている感じとも思えないしだとすると操られた別の狐人にやられたのかな…?)

「でもこれ以上仲間たちが死ぬのを黙ってみてられません。。。とりあえず先にヤソの遺体がある場所まで来てもらえませんか?幻炎種しか出せない青い炎は対象物を燃やし続ける性質と燃えている最中はその物が腐る事がなくなるので。」

フォル「分かった。案内して。」

 そういうとフォルとビスケはヤソが死んでいた場所に向かう。



ーーー西館一階。ヤソが倒れていた部屋ーーー


フォル「ここ…?あ、ヤソ君。ヤソ君…?」

 狐人たちは殺されるということに慣れていなさ過ぎた。人が死ぬというのは寿命で死ぬ。力を使い過ぎて死ぬのどちらかだという認識しかなかった。でも幻炎種に関しては特に狐人の死に携わる事になっている。幻炎種のみ出せる青い炎は死体を腐らせることなく保管しておける。亡くなってから三日間弔いの儀式が終わったら墓地にて土葬するということをしている。だから悲しみという感情よりかはだれかに殺されたという事実に怒りを覚えていた。

「僕はシャトーさん。いや、シャトーを許せないよ。あの人が直接殺したわけじゃなくても洗脳した仲間の誰かに殺させたんだ。間違いない。」

ビスケ「はい。敵を討ってほしい欲しいんです…。」

フォル「とりあえずヤソ君の死体が腐らないようにしておくね。青炎せいえん!」

 手のひらをかざし対象物に青い炎で燃やし続ける青炎せいえん。幻炎種以外は解除できないし水をかけても消火できない特別な火。

ビスケ「すみません、デクさんたちに無断でここに来たもんだから今頃探していると思います。戻りましょう。」

フォル「そうだね、戻ろう。」

 そういってヤソを壁にもたれかけさせ、その部屋を後にする。


ーーー大広間一階ーーー


ミーコ「おめえは…ロニ…ロニなのか…?」

ロニ「あはw正解!大正解!私はロニ。シャトー様に仕える内の一人。ロニちゃんで~す!」

 そういってフードを取ると幼馴染の雰囲気は残りつつも異様な感じにコンダも即座に気付いた。

コンダ「な、なんでそんな顔が傷だらけなんDA…」

 ロニは確かにミーコの幼馴染であったがフードを取ったと同時に見えた顔には無数のツギハギ跡があった。ミーコは絶句した。

シャトー「あら。幼馴染でしたの。お気の毒に、崖下に落ちてから私のお仲間が拾いあげておいたのですわ。大丈夫、人格はいじっておりませんので。」

ミーコ「てめぇ…人の幼馴染で何遊んでんだよ。」

シャトー「はい?」

ミーコ「そのツギハギ模様は何だってんだぁ!?!?あぁ!?説明しろや!私の幼馴染の命を弄んで

私の目の前で正体晒して内心ヘラヘラしてんのか!?人間として最低なやろうがぁ!!!!」

 ミーコは怒りで我を忘れてシャトーに殴りかかろうとするがミーコは能力を未収得のため無謀に過ぎなかった。その隙をロニが見逃すはずもなく持っていた鉄パイプでミーコの頭を殴った。

ミーコ「がっ!」

 ミーコはその場に突っ伏して頭から血を流す。

ロニ「きゃはwえ?ちょい待ちってwなんで能力使わないの?え?まさか、シャトー様から頂いてないの?え~?」

ミーコ「がっ。。。コンダは実験されたか知らねえが私は檻から逃げてんだよ。能力は習得するのに私のは難易度が高すぎんだよ…」

ロニ「知ってる知ってる。じゃあこの場に出てくるのも早すぎるってことじゃんね!」

ミーコ(頭が痛すぎる…手加減なしかよ…くそっくそっ、私の幼馴染で遊びやがって。許さねえ。死んだらぜってえ呪ってやる。シャトー!!!!!!!)

 ロニが再度大きく持っていた鉄パイプを振りかざしたがコンダが負けじと出てきて鉄パイプを止める。

ロニ「え。何?男のプライドって奴?分かんないな~」

コンダ「実験されて人の心まで無くしたのかYO!お前みたいな女は拳で分からせるしかねえな!」

 コンダはその後長々と解説しその部屋にいるもの全てに発動条件を成立させることに成功。

シャトー「あの子から触れられたら、分かってますわね!」

ロニ「は~い」

 コンダは思いっきりロニの顔をめがけて殴った。

「やはり能力を使って殴ってきたわね。殴られた感触がない。てことは秒数を数えて…がっ!?」

コンダ「引っかかったんだZE。。。やはり”フェイント”に弱いんだZE。」

 遅痕打を発動する際殴られた側は痛みを感じない。痛みを感じるためには能力者が秒数を数える必要があると同時にこの能力の強みはフェイント。つまり殴ったと見せかけて寸前で力を弱め相手に能力を発動させたと誤認させ能力を発動しない普通の殴りを行うことで相手の不意を突くことが可能。

ロニ「へぇ…女の子の顔を殴るなんてね」

コンダ(思いっきり殴ったつもりなのに血が出てねえ。どういうことだ。渾身の一撃だぞ…)

コンダ「悠長に解説したのに聞いてくれるなんてありがたいがその余裕な態度が命取りだZE。」

ロニ「てか、聞かないんだ。私が生きている理由。」

ミーコ(ガキの頃の記憶しかないはずなのに名前を聞いただけでそうと決めつけたが確かにこのロニが本物である証拠はねえが偽物だと言い切れる証拠も同時にねえ。でも当然だが成長してるから声も顔も変わってる。ただミコっちと呼んでいたのはロニだけだ。だとしたら村にスパイ的な何かがいてそれをもとに。。。?いや、そんなやつがいたら村長はとっくに見抜いてる。だとしたら死体を回収してなんかしらの方法で。。。)

「へ…知らなくていいな。どうやったかは知らねえけどロニ本人は間違いねえみてえだ。ただこいつを側近にするなんて見る目ねえなシャトー…って居ねえ!」

コンダ「いつの間にかいなくなってるYo…」

ロニ「追わせないよ。あの人は展示室を通り部屋に帰った。邪魔だては許さないよん。」


ーーー東館 展示室ーーー


シャトー「さて…今そっちはどちらにいらっしゃいますの?」

???「…」

シャトー「分かりましたわ。私はお部屋に戻りますので引き続き頼みます。」

???「…」

 展示室には大広間につながる扉と東館一階廊下につながる扉があり展示室には物置部屋がある。そこでシャトーが入ってきたのをこっそり聞いている人物がいた。

(はぁ…はぁ…シャトーか。脅かしやがって。にしても誰かと話してんのか…?この展示室には俺しかいねえはずだが。独り言とは思えねえけど誰と話してるんだ…?あの執事ってやつか?んなことより早く…早くここから出て行ってくれ…今俺はおなかがいてえんだ…!)


登場人物

フォル

ビスケ

ヤソ、タカとの三人兄弟のうちの末っ子。

同じ末っ子として生きるパルミを見て自分もああなりたいと誓う。

コンダ

フェイント:発動条件を満たした相手に対して攻撃を寸前で止めて発動したと見せかけ直後に能力を

使わずに攻撃することで相手の不意を確実に突ける。

ミーコ

シャトー

ロニ

昔死んだと思われていたミーコの幼馴染は崖下で亡くなった後に拾われ無数の実験と特殊な力を使い

元々の人格の魂を入れてシャトーの側近として動かしている。


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