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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
18/59

屋敷編.第十七章 本当の敵.2

 コンダ。走る

 ただひたすらに、大広間の二階を走り下にいる自分が洗脳されていたのではないかという恐怖と怒りの

感情が交錯し、怒りの一撃「穴痕打アナコンダ」を叩き込む。

…のだがシャトーは片手で受け止めた。

 穴痕打:拳を放った方向にとてつもない衝撃派。壁二枚くらいなら難なく貫通する命撃。


コンダ(ま、まじdeかよ…渾身の一撃をいとも簡単に・・・)

 そう心の中で叫ぶも虚しく、すぐさま危険と悟り大きく後ろに下がる。


ーーー大広間二階ーーー


クラゲ「馬鹿姉貴…フォル。私たちどうするよ。」

フォル「僕はシャトーに見られるわけにはいかない。多分…その…まだ僕はシャトーに招待されただけだと思われてるみたいだ」

クラゲ「・・・・・・・・へ?フォル…お前頭でも打ったか。。。私がこんなあざだらけでしっかりしてる

んだから冗談でもやめてくれよ。」

フォル「でも今日の朝僕はシャトーに会ったんだ!その時」

クラゲ「目を覚ませよ。仮にも希少な種なんだから。いいかよく聞け。体感時間でいってももう二日以上は経ってる。檻から逃げたメンバーだけでも何人いると思ってる。誰一人とも同族と鉢合わせていないと

シャトーが思ってると思うか?くっ・・・あざが…」

フォル「大丈夫!?ごめん、そうだよね…」

クラゲ「気持ちはわかる。こんなとこに連れて来られてムカつくよな。とりあえずシャトーがこの大広間から

去るのを待とう。そしたら私は馬鹿姉貴を連れてその入ってきた大きな扉から外へ出る。」

フォル「僕は連れてこられたわけじゃ…てか、何を言っているんだ!ほかの子たちは…どうするつもりなんだ…。」

クラゲ「私は見たらわかる。もう戦力にならねえ。万が一にでもシャトーが本当に

フォルを客人だと思って接してきた可能性もないわけじゃねえ。だからこのまま二階のさっき

入った方向とは逆の西館の方へ行け…それしかいうことがねえ。フォルまでここで死なれちゃたまんねえからな。」

 いつも以上に真剣な眼差しを前にフォルはただ従うしかなかった。フォルはただひたすらに二階の西館の方に走り出すのであった。


ーーー大広間一階ーーー


シャトー「あら、クラゲさんは連れてこなくてよろしくて?」

ミーコ「へっ。あんたの挑発に乗る気はねえな。俺とコンダで十分だ。」

シャトー「なるほど。。。でもなんでコンダさんと組んでいらして?」

ミーコ「どういう意味だ。」

シャトー「いえ、コンダさんは貴方の大切な妹様を傷つけてしまわれたとお見受けしますが。」

ミーコ「へっ。見てねえくせに何を偉そうに。てめぇは今ここについたばかりだろうが。それに

うちの妹が傷ついてるってなぜわかる。そこまで柔じゃねえぞ。」

シャトー「いえいえ。そこまでいうんでしたらどうぞお気になさらず。」

 コンダは疑問を抱いていた。なぜ大広間に今来たばかりの者に今二階で待機しているクラゲが

傷だらけということが分かるのか。確かに自分自身を含めた被験者の狐族たちは檻から逃げ出した狐族

を捉えろと言う命令を聞いた。もちろん俺たちにも自我はあるから命令に背くプレーン君なども現れた

が、ともかく俺とクラゲが戦った事を何らかの情報を得て既にそれは確信に変わっている…?

 そもそもお見受けするという言い方に凄い引っかかる。クラゲと戦っていたのは数分前の出来事。

今傷だらけで二階で待機しているとはいえ、大広間は吹き抜けの構造。だとしてもシャトーが二階を確認したような動作はなかった。そういう能力なのか…?それとも別のだれか…?

ミーコ「おいコンダ!お前ぼさっとするな!たたか…な。なんだシャトー…!おめえのそれは!!!」

シャトー「下品な言葉ばかり吐かないでくださいまし。それってどれのことでしょう?私の服装?

煌びやかなネックレス?」

 ミーコは”それ”に驚かされていた。背中から生えている無数の手のような物に。コンダも驚きの

あまり声が出ずにいた。

シャトー「ああこれのことですね、申し訳ございません。感情が高ぶると出てしまいますの。」

 そういうと同時に一本の手が高速でコンダを殴る。

コンダ「がっ!?」

 と同時に後ろに吹っ飛ばされる。

ミーコ(見えなかった…なんだ今のは。こんなのが5本6本も背中から生えてるっていうのか。。。?

こんな化け物見たことがねえ。私と手負いのコンダでどうにかできるもんでもねえ。フォルに

来てもらうしか…)

シャトー「ごめんあそばせ。まあコンダ様は裏切ったということでしょうけど私に人を○す趣味など

ないので。この子にやってもらいましょう。」

 そういうと後ろで待機していたフードで顔を隠した人物が姿を出す。

???「全く。あの時と変わってないね。ミコっち。」

 その子はフードを出すとともにミーコのことを知っているかのような口ぶりで話す。

ミーコ「お、お前は・・・・・・?」


ーーー西館地下料理場。ーーー


 一方その頃ジーナの傷が癒え、西館の地下料理場にて甲冑の部屋の前に色々と散策して食料を盗み出して食べていた。

ボン「おいデク。なんか食えそうなもの他にもあったか?」

デク「いくつか食べれそうなものはあるね。お肉とか野菜とかある。これは助かる…」

ボン「よし。ここの部屋は覚えておこうぜ。後で皆に伝えよう。」

デク「にしても不思議だな。この大きい箱の中に食料があって全然腐らないのは中が冷えてるからなんだね。」

ジーナ「確かに私たちの村にこんなものはないわね。。。というかこのお屋敷自体が未知なのよ。

いちいち驚いてたら心臓いくつあっても足りないわ。」

 狐族たちは青い炎を活用した貯蔵庫を利用。青い炎は”燃え続ける”性質を活用し且つ燃えている間は物が腐ることがないし、焦がすこともなく青い炎が着火した時点での状態を維持し続ける。当然青い炎は

幻炎種の十八番なのでフォス爺が提供している。

デク「確かにね…村の貯蔵庫とは違うね。なんか冷たいね。この方法でも肉が腐らないのか…」

 ボン達は今ある肉などをお腹いっぱいになるまで食べ、ビスケの分までお肉を刻んでもっていく事にした。地下食糧庫を後に階段を上がろうとしたらデクが咄嗟に手を広げて前に誰かがいる事を伝えた。

デク「…ビスケか~?ごめん少し食べてたんだ。大丈夫!ちゃんと持ってきたか…違うな。女の子だ。」

???「あっれ~?そこで何してるの~?お腹空いたのかな~?ん~?あ!デク君か!!!」

デク「君は…アレラか…!」

アレラ「ピピピンポーン!え?捕まえに来たかどうかって?せいか~~~いてっ!」

「捕まえに来たに決まってんでしょうが!シャトー様の命令だぞ!」

アレラ「ごめんごめんw私のいつものおひさ~の挨拶じゃない?ダメ?」

「お姉ちゃん達本当にうるさい。耳に響く。蝶々が驚いちゃう。」

ボン「なんだ?あいつら…あ~。思い出した。”ズッチー三姉妹”か。。。またこりゃうるさいのが

来たな。」

デク「ズッチー三姉妹?」

ジーナ「ねえ。あんたら全員。階段も一人しか通れないくらい狭いなか女の子をまだ地下の汚い所で

通せんぼって。覚悟出来てるわけ…?(怒)」

アレラ「あ!ジーナちゃんね!ジーナちゃん!とりあえず後ろ下がりましょ!下がって下がって100歩下がってお部屋にって痛いなあ~!なんで毎回叩くの~?カ~マ~ン~!!!」

カマン「100歩下がったら屋敷から落っこちるぞ!下がって頭打ってそのボケまくりのキャラ辞めて欲しいよほんと。なんで私が毎回突っ込んでるの。そう思わない?パルミ~」

パルミ「…蝶々ちゃん達が静かにしてって。」

 村では有名な三姉妹、その名もズッチー三姉妹。うるさいアレラ・世話役カマン・被害者パルミという

全員に二つ名がつけられるほど印象的。ジーナのイライラが募りに募って一度ビスケに食料だけあげて

7名で食堂に戻り会話をすることにした。


ーーー西館食堂一階ーーー


デク「さて…久しぶりの三姉妹揃っての御登場という事でお話を…」

アレラ「っててて!待て待て待てー!!!私たちシャトー様側なんだぞ!なんで食堂で座って冷静に話そうとしてるんだ~!!??」

カマン(突っ込むの私の役目なんだけど…珍しく正論言ってるぅ。)

デク「いや、真面目に君たちがなんでシャトーという奴の命令なんて」

 といい終えようとしたところで無言でデクの真後ろに立つパルミの気配に気づき咄嗟にデクが椅子から

抜け出して臨戦態勢に入る。

パルミ「お姉ちゃん達は普段からおちゃらけてるかもしれないけど私はいつでも凄く真面目。申し訳ないけど命令としか言いようがないの。」

カマン(あれ、これおちゃらけてるってひょっとして私も入っちゃってるぅ…?)

パルミ「五色蝶ごしきちょう・青。目の前のあの子を眠らせて!」

 ジーナとボンはあまりに一瞬の出来事で完全に出遅れた。

ジーナ「ボン!パルミちゃんを止めて!!!」

ボン「止めるって。。。これどうしたら」

デク(な、蝶々???この部屋の中で、蝶々?さっきずっと言ってた蝶々ってパルミちゃんの能力だった。。。な…睡魔が突然…)

 デクは素早く動いたが蝶々に触れられてもいないのに睡魔でその場に倒れた。

ジーナ「な!デク!?しっかりして!!!…ね、寝てる。。。?ひょっとしてこれが…。」

パルミ「出遅れたってレベルじゃないね。ただ見てただけ。ジーナお姉ちゃん。私より年上なのに

仲間一人も救えないんだ。笑っちゃうね、血が繋がってなくて良かったよ。まあ血が繋がってる私の後ろでボーっとしてる二人のお姉ちゃんも別に何の計画もなくてただ見てるだけじゃない。貴方とは違うの。」

アレラ「うぇ~い!正解正解~~~!ね~カマンちゃ~~~ん!」

カマン「そ!そうそう!私も今計画を練りに練っていた所なのさ~~!!」

(嘘ぉ!?計画!?なんも聞かされてないぞ!?て、てかうちの妹色々と出来すぎだろ~…?)

ジーナ「デク!デク!…あんたら許さない…!あくまでシャトーに味方しようって訳ね!スーパーリンク!!!」

ボン(来たか…ここで発動するわけか)

 ジーナはデクに触れていた青い蝶に優しく触れる。

ジーナ「よし…!能力発動…って消えた…!?今確かに触れたはずじゃ。」

ボン「いや!それでいい!」

パルミ(何する気?)

 パルミは警戒して大きく後ろに下がった。

アレラ「任せて!お姉ちゃんのこの大きな胸に飛び込んできなさ…ふべっ!」

パルミ「うるさい。背中でいい。」

ボン「照爆発デボン!」

 ボンが手を合わせると同時に手のひらに炎を凝縮させそれを玉として発射する技。当然三姉妹は警戒するが放つ方向はジーナの下に倒れてるデクにだった。

アレラ「え~?なんで仲間に放つのかな~?」

パルミ(何か違和感が…)

 それと同時にパルミにとてつもない熱さが襲う。

パルミ「ぎゃああああああああああああああああああ熱い熱い熱い!!!!」

カマン「な!?何が起こったの!?」

ジーナ「ざまあ見なさい。少々やりすぎな気もするけど。」

ボン「まさかお前がそこまで考えてるとはな…多分あの青い蝶は誰かが触れると消える仕組みなんだろうけど”残り香”なんだろ?お前がリンクさせたのは。」

ジーナ「そうそう。蝶々自体が消えても残り香は消えない。私がリンクさせるものは何も本体だけじゃないのよ。色々実験して分かったんだから。」

ボン(消えたってビックリしてたからその解説は俺の役目のはずなんだけどな)

カマン「ちっ!あんたらやりすぎよ!私たちは眠らせて…」

ジーナ「私の言うやりすぎと貴方達の言うやりすぎは意味合いが全然違うわ。自己中・不安・焦りを感じるやりすぎだわ。私は慈悲として言ってあげたのに。」

カマン(なんて卑劣で見下してくる女…)

アレラ「ごめんね!私が付いていながら!ん~~~!水!?水なのn…あいた!」

カマン「どう見ても燃えてないでしょうが!恐らくあの男の技が持続的に効いてるだけ…。」

 デクの傍で爆発したため音と衝撃でデクの体が大きく動いた。

パルミ「はぁ…はぁ…くそ。死ね大男。女性にそんな事して地獄にも行けると思わないで。お姉ちゃん達。シャトー様に報告しよう。私この人たちと戦いたくない。」

ボン(怖いってレベルじゃないな)

カマン「この卑劣な女め。貴方覚えていなさいよ!」

 そういうと食堂を後に大広間とは逆の部屋に行ってしまった。


ーーー30分後ーーー

デク「なんかすごい背中が痛い気がするんだけど…

ごめん二人とも…!なんか寝てたみた…あ、あれ。あの三人は?話し合いは?」

ボン「お前あれだけの衝撃を受けてよくそれだけ寝れたな。そんなに強かったのか?あの蝶々の

眠り粉。」

ジーナ「悪いけど黙ってて。」

 ジーナはあの三人のどこか悲しげな背中を見送りながらも次の行動計画を考えているのであった。






ボン「ていうかよ。あそこの不可解な木を見に行くって話は。俺達食糧集めに夢中で。あとビスケも。」

ジーナ「黙って。」


登場人物

コンダ

命撃:穴痕打

殴った方向に大きな衝撃派。壁二枚は容易く貫通する。

クラゲ

フォル

西館の二階、シャトーに見られずに別の場所に逃げる事を決意。


シャトー

冷浪蛇兎レナミジャヴ:シャトーの背中から生える六本の腕のような物。

それぞれに自我はなくシャトーの意思で動く。必ず六本出さないといけないわけではなく、

一本だけでも三本だけでも問題ない。

???

シャトーの近くで佇んでいた者。ミーコを知っているような口ぶりだが…?

ミーコ

シャトーをぶっ飛ばす思い出やってきたが自分自身能力を開発中だったために、シャトーと戦う事を

断念した。

ボン

照爆発デボン:ボンの基礎技、手を手を合わせて凝縮した炎を狙った方向に放つ。

炎は持続的に対象を燃やす。

デク

ジーナ

自身の能力、スーパーリンクでパルミの蝶々をリンクさせることに成功。活躍した。


ズッチー三姉妹:村では有名な三姉妹。村では双子まではそこまで珍しくなかったが三つ子が生まれて話題になって村の皆にもてはやされて育った。

アレラ

三姉妹の長女で能力は不明。

いつも明るく誰にでも接するがそれが仇になることが多い。

カマン

三姉妹の次女で能力不明。アレラのボケに対して突っ込む役割。あと三姉妹の中で置いてけぼりになりがち。ついていけないと本人は思っている。

パルミ

三姉妹の末っ子で能力は五色蝶ごしきちょう

五色の蝶々を操り対象に向けて色ごとに違う効果を発揮する攻撃を仕掛ける。

蝶々自体に防御力はないに等しく、攻撃されればひとたまりもなく散るが蝶々は鱗粉を発生させて対象に攻撃するので能力者当人が気絶等しなければそこまでデメリットにはならないが、難点として誰か独りにでも効果を発揮した場合そのあとに触れたり近くに来た人物にはもう鱗粉にも効果がない。

独りにしか効かないが効果は超強力。


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