屋敷編.第十六章 本当の敵
19日目。お昼頃 大広間の二階
クラゲはぶっ通しでコンダと対峙する中、なかなか倒れないコンダに嫌気がさしていた。電撃を
浴びせても浴びせてもコンダは立ち上がりお互いがガッツで戦っていた。
クラゲ「はぁ…はぁ…てめぇ早く倒れやがれ!」
コンダ「甘いね~クラゲっち♪俺を倒したいならもっと別の方法があるんじゃないか?ほらほら~
何か隠しているんじゃないか~?ん~?」
クラゲ(昨日こいつと出会う前にたらふくわけわかんねーお菓子ほおばっておいてよかったぜ。何も
食べてなかったら一日ぶっ通しで戦えねえからな。それにこの大広間に入る前の狭い廊下の部屋に除草剤置いてきたけど使えるか…?いや目くらまし程度にしかならねえ。こいつを倒すには。。。仕方ねえ)
難しい顔をしながら考えているとコンダが猛スピードで迫ってきた。
クラゲ「なっ!?こいt」
喋る間もなく触れられた感じがした。
「はぁ…はぁ…いやコンダてめぇ~よ。芸がねえんだなあ」
3
「そうやって一つのことしかできず
2
能力の発動条件も解説必須で
1
くそやろうがぁあああぁぁぁ~~~~」
喋りながら吹っ飛ぶと同時に吹っ飛ぶ方向をあらかじめ調節。先にその方向に回り込みコンダは
コンボを畳みかける感じで殴り続ける。
クラゲ(やはり発動して殴るか解除してそのまま殴るかは調節できるのか…くそいてぇ。早くこの不利な状況を打破しないと意識が遠のいて連れていかれる…。)
クラゲ「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~もうムカつく!女性をボコスカボコスカ殴り
やがって!後悔するんじゃねえぞ!」
もはやコンボにコンボを重ねられたせいであざだらけの中クラゲは大技を展開する。
「命撃”黒雷死重力”」
クラゲを中心に黒いドーム状の物が展開される。
コンダ「んだ?これがなんだってんだい~?…ちょいとピリッと痺れる程度だな!おいおいこれが今張り切って出せる技か?無駄遣いにも程があるな!そんなものに技のエネルギー使ってる暇ないんじゃね~の?クラゲちゃんよぉ!」
クラゲ「これでいいんだよ。いちいちわめくな。技っていうのはな。油断している相手に一番当てやすいんだよ!」
そういうと黒いドーム状の中で余裕をこいてるコンダに対して重い物がのしかかる。
コンダ「ぐはっ!お・・・重い…!?」
クラゲ「甘いな。コンダ野郎が。この範囲は私以外に痺れと重力を付与させる物。重さは地球の重力の3倍程度。お前どうやら痺れに関しては私が与えすぎて慣れてるようだが重みには慣れてねえだろ。それが
命取りよ。こんだけ私に傷つけておいてやられるとは思ってなかったようだな。お前にどれだけあざ付け
られたか分かってるか?お前は敵…だったよな。じゃあ私たちが森で動物を狩るようにお前を今ここで
狩る!!!!!!」
コンダは重みに耐え切れず床に這いつくばるような形で居るのがやっとだった。喋り出しても
小さくて聞こえなかった。
コンダ「や・・・やめ・・・たすけ・・・」
クラゲ「もはや喋れねえとは駄洒落大好き男が聞いてあきれるぜ!」
そういって渾身の一撃を尻尾に溜めて振り下ろそうとした瞬間一つの扉が空く。
バタン!
ミーコ「馬鹿!やめろクラゲ!」
クラゲの姉。ミーコだった。
ミーコ「お前が手を汚す必要はねえだろ。そいつは捕まえておけばいいじゃねえか。」
クラゲ「姉貴~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!会いたかったぜまじ~~~~」
ミーコ「馬鹿くっつくな。お前鼻血出てんじゃねえか。私の服で拭くんじゃねえ~~~~!」
コンダ(へっへへへ・・・こいつ能力解除しやがったな。重みで今は体が動かねえがどうやら俺は
使いもんにならないみたいだYO…。俺もここまでか…)
コンダは少しして立ち上がると同時にナイフを自分の首に突き立て自殺を図る。
クラゲ「おまっ!?なにしてんだ!?!?」
突然のことに理解が及んでいないながらもとっさにフォルが止めに入る。
クラゲ「フォル!お前来てたんじゃねえか!」
フォル「さっきミーコさんと会ってね…そんなことよりコンダ君。やめなよ。どうしちゃったんだ。
君もプレーン君が言ってたように感情をいじられたのかい!?!?」
そういうと包丁を持っていた手を下ろして無気力な姿のまま立ち尽くす。
クラゲ「マジびっくりしたぜ。敵だと思って戦ってたら急に自殺しようとするんだもんなあ。」
次の瞬間、ミーコはコンダをビンタする。
コンダ「いてえんだYo…」
ミーコ「お前がシャトーとかいうやつに操られてるのか知らねえ。感情がどうのこうのだ知らねえ。でも今お前は私たちの目の前で自殺を図った。死にてえなら死ねよ。止めねえよ。でも人様に迷惑かけてんじゃねえよ。私たち今一生懸命戦って、檻の中から命がけで抜け出してきて…それでもお前ら連れていかれた奴らは負けだと悟ったら死のうとしやがって自分勝手もいいところだろうが。命を侮辱するのだけは絶対に許さねえ。」
クラゲ「あ…姉貴…?ちょっとどうしちゃったのs」
ミーコ「黙ってろクラゲ。知ってるよな。バラしか咲いてないあたり一面の花園。この島の由来でもあるだろ。バラ綺麗だよな。それをガキの頃幼馴染と摘みに行ってたらそいつの悲鳴が聞こえてきて崖で今にも落ちそうだった。この島は崖から海までの高さが異常に高くて落ちたら二度と島に戻れねえ。そんな中まだ手を捕まっていた中、駆け付けようとそこまで走って助けようとしたが間に合わずそいつは
落ちた。”ロニ”っていう名前だったな。でも私は幼かったのもあって罪悪感に押しつぶされながら
ロニのご両親には噓をついちまった。ロニは森で行方不明になっちゃったと。
それから三日三晩村の人たちで探し回ったが当然見つかるはずもなく、探索は打ち切りになった。
だから何だって話だろうけど誰も死んでほしくねえんだよ。」
コンダ「そうやって聞いてもいない自分の過去をペラペラしゃべる奴ほど自分中心な奴は
いNEえんだよぉ…ロニの話は知ってるぜぇ。可哀想だったろうNI…。こんな幼馴染をもっt」
ミーコ「黙れ!そいつを侮辱することだけは許さねえ。もういっぺん言ってみろ。
ただじゃ済まねえからな。」
そういうとフォルは引き離そうとしたが強い力と圧で何もできなかった。
ミーコ「いいか。人が目の前にいるって中で自分の意志で死にたい奴はいつだってそいつらの気持ちを
考えねえクズだ!そんな奴は狐族…いや人として生きていく資格がねえんだよ!!!!!」
コンダは何かを思ったかのようにへなへなと力が抜けていき地面にへたり込んだ。
クラゲ「あ。姉貴ぃ…姉貴怖いぜ…」
ミーコ「私は絶対に許さねえ。洗脳だか何だか知らねえけど私たちの仲間をこんな風にしたシャトーってやつが許せねえ。私が絶対倒す。」
クラゲ「姉貴能力身に着けたのか?それだったら私見張ってるからこの大広間の二階部分で
練習しちゃえよ。」
ミーコ「それもそうだ。それ自体はもうちょいで感覚が掴めそうなんだ。」
そう話していると下の階から二人の影が歩いているのが見えた。
ミーコ「待て…。誰かいるじゃねえ…あれは!シャトー!!!」
クラゲ「姉貴ダメだ!行っちゃだめだ!!!!!」
妹の制止も効かず階段を降りて我先にと下に行くとシャトーと顔を隠した人間と思しきものが
立っていた。
シャトー「あら、ミーコちゃんですわね?私のお屋敷は気に入っていただけたかs」
ミーコ「舐めてんじゃねえぞ。私はあんたをぶっ飛ばしに来ただけだぜ。」
シャトー「あらそうなんですの。あなた。そこの扉の前で私の戦いを見てくださいまし。」
シャトーはフードを被った人間にそう告げると黙って美術品がある部屋の扉の前で黙ってこちらを
見ている。
ミーコ「へっ。あんたと一対一か。自慢の執事はどうしたよ。いいのか?私は手加減なしだぜ。」
シャトー「いいんですわ。それに本気でお相手するには至りませんので。」
ミーコ「お前のその自信満々な態度事打ち砕いてやるぜ。」
それと同時に上の階から絶望に打ちひしがれていたはずのコンダが飛び上がりシャトーに
重い一撃を放とうと二階から走り出す。
(俺はそう、今まさに死のうとしていたんだYo...これが運命か本能か。洗脳だったのかはわからないに
してもそう、俺っちは救われちまった。それも女性に。俺たち一族は女性を守るのだと散々教わってきたんだYo。でも、今分かった、本当の”敵”とやらが)
「命撃”穴痕打”!!!!!」
油断しているシャトーに一撃を与えんとばかりに思いきり力を込める。
登場人物
クラゲ
コンダにあざだらけにされ、鼻血を垂らしながら戦うもミーコさん戦で安堵した。
能力:プラズマラグーン
薄青色の傘の形をした尻尾で叩きつけた相手にしびれを与える力。
命撃:黒雷死重力
能力者を中心とした半径5m以内の黒いドーム型の物を展開する。中は痺れの成分と地球の三倍の重力の
負荷がかかる物になっていて能力者以外はとてつもない重さで動けなくなる。
コンダ
クラゲをあざだらけになるまで殴るが自分が反撃を喰らう事を想定していなく、大打撃を受ける。
ミーコ
フォルと二階の大広間の場所にかけつけたら自殺しようとしていたコンダを引き留め、過去に自分が
ついていながらも亡くしてしまった幼馴染を思い出す。
フォル
同じくミーコと一緒に駆け付けるも自殺を図る同じ狐人を見て困惑してしまう。
シャトー
突如として大広間に謎の人物と現れたシャトー…その目的とは一体…。
命撃:狐族の大技、奥義に分類される物。元々の基礎能力から全く別の性質になることが多い。