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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
14/59

屋敷編.第十三章 二人の刺客

19日目 朝の5:00 倉庫


ミーコ「くぅぅぅー!!!よく寝たよく寝た!

ほら起きろ!何いつまでも寝てんだよ!」

 そうやって思いきり叩いてフォルを起こした。

フォル「痛いって、ちょっとは優しく起こしてよ...」

 狐人は基本朝の5時に起床して獲物を狩りに行く習性がある、屋敷の中にいて時間感覚が変わっても本能的にその習性が変わることはほとんど無い。

ミーコ「この汚ねぇ倉庫みたいな部屋で食えそうなもの、いくつか探してみたぜ。クッキーって書いてある缶の中にたくさんあった。においも大丈夫みたいだしまだ食えんだろ。あと缶詰めらしきもんがあるな。とりあえず食料は確保。しっかしここの家主はお嬢様といえど手入れしてない部屋の一つや二つあるんだなぁ。結構意外じゃね?」

フォル「そんなこと僕に言われても分からないよ。じゃあそのクッキーとか缶詰とかまとめてこの少し大きめの缶にまとめて別のメンバーに分けてあげてよ。」

ミーコ「へっ。最初からそのつもりだっつーの。先行ってっからあとから来いよ。」

 そういうとミーコは食料をまとめた缶を持って先に一階の方から回って大広間に向かうのだった。


・・・静かな部屋。一体いつになったらここを出られるのだろう。

 僕が村からいなくなって何日経ったであろうか。

 村の人たちはとっくに気付いて森の中も捜索しているはず…もう2日以上は経っている。

 流石に誰一人として村の人が屋敷に近づいている雰囲気すらないと不自然どうこうの問題というよりこの屋敷に近づけない理由がある…?でも看板を立てていたくらいだ。ここに近づけない理由が分からない。一度踏み入ったからこそあの看板を立てたはず…それとももう…


 そう言ってると二階から足音を感じた。

フォル「あ、もどって…!?!?!?」

 思わず咄嗟に口を塞いだ。シャトーだった。

フォル「あ、あっシャトーさん。お、おはようございます!いい天気で、ですね。あはははは…。」

シャトー「あら。もう探しましたわよ。お客様。もー、綺麗なお部屋ならいくらでもありますのに。なんでそんな部屋で寝ていらして?あ、まさかそういうところでしか寝れない体質とかでして?」

 シャトーは檻でクラゲの攻撃を受けた時、昼とはいえ檻の中は暗闇だから逃げ出した時僕を認識できていなかった…?

ならこれは絶好のチャンス。僕はまだ檻から抜けたメンバーだと思われていな…いや、大丈夫なのか?

 これでもし客のフリをして話した結果檻から出ているところを見られていたとしたら?

シャトー「あの、聞いていらして?」

 そうなったら僕は嘘を見抜かれてここで終わる。そうなったら迷惑どころじゃない

シャトー「あのー?ひょっとしてまだ寝ぼけていらして?」

 でもそうはいっても最初の一言がお客様っていう落ち着いている感じならここは”そういうフリ”をして...

シャトー「ねぇー!!!!!」

ビクッ!

フォル「あ、す、すみません。ちょっと寝不足でして。」

シャトー「でしょうね。寝る場所が変わってるわ。まあいいわ。ふらっと立ち寄っただけですし。これから私はこの屋敷を放れてやることがあるのでお客様が入っていい場所は最初に案内した部屋だけですわ。それとそこの部屋汚らしいのでもう入らないでくださいまし。」

フォル「はい、気を付けます。」

 ていうかそれどころではない、朝から心臓が止まるかと思った。

 そういうとシャトーは屋敷を後にした。


同日 別館

 リオネとシグマはキメラスを退けた後、ひたすら探索していた。

リオネ「ここ、招待された屋敷の雰囲気とは違うね~。蜘蛛の巣もそこら中にあるし、ここって放置されてるの?」

シグマ「さぁ、それにしてもこの部屋だけ妙に広いな。さっきまでそこの部屋で寝てたけどなんか植物で埋め尽くされてて匂いヤバかったな。一番大きい扉は開かないし、もう一つの部屋にはすっごい狭いけど異常な匂いを放つような瓶に詰められたものばかりだな。」

リオネ「うーん。なんか屋敷もそうだったけどここだけ別世界みたいだね。こんなもの私たちの村に持ち帰ったらびっくりするんじゃない?」

シグマ「ほんとな。でも俺達こんなところでダラダラと探索してて大丈夫か?」

リオネ「わかんない。でも戻るにしても何かしら持って帰らないと役立たずって思われちゃう…リオネそれだけは嫌!」

シグマ「てかここほんと食べれる物がないな。」

リオネ「え、シグマちゃん、さっきそこに甘い食べ物あったよ!」

シグマ「お前、まさか独り占めしてたんじゃ…」

リオネ「違う違う!昨日の夜そっちの狭い通路の奥の壁に穴が開いててそこの奥にでっかいまんまるな物があってそれをぶち壊したら中から甘いものが出てきたからなんか空いてた瓶に詰め込んでおいたよ!」

シグマ「あ、なるほど。てかそれハチミツじゃねえか!でも飢えるよりましか…てかそれどこに置いてあるんだよ。」

リオネ「マボー!起きて!」

 そうやってリオネは肌身離さず持っている魔術本を叩く。

マボー「おい!起こし方雑!!!!流石に雑じゃねえか!!」

シグマ「うおー!!!!!????喋るのか!?!?」

リオネ「シグマ君驚きすぎwちょwウケるw。」

シグマ「てか、マボーってなんだよ…ネーミングセンスなさすぎじゃないか?」

リオネ「いやいや、妖狐魔術本なんだから(まじゅつぼん)→マボ→マボーだよ!」

シグマ「…いやなんでマボーって伸ばすんだよ…てかそいつ喋るなら先に行ってくれよ。」

マボー「わりぃな。俺は気に入った奴にしか喋らねえ主義なんだ。まあ今はたたき起こされて気分がわりぃからお前に半ば八つ当たりで返答するけど、俺はシャトーに作られた生物型の本だ。」

シグマ「え、お前…シャトーの物なの…?」

リオネ「私も最初ここの汚いお家で入ってすぐ奥にあった埃被ってた本をパタパタしてたらいきなり頭に覆いかぶさってきて私もつい汚いー!!!って地面に叩きつけたらマボーが私の事気に入ったみたいで能力を貸してやるー!って言ってなんかついてきたんだよ!」

 (おいおい、マジかよ。そういう事ならキメラスとかいう奴が攻めてくる前から説明する暇いくらでもあったろうに…なんで今更。)

マボー「で?なんか聞きたい事あったんじゃねえの?」

 (口も悪いし)

シグマ「あー…いやその、もしかしてハチミツ食べちゃったんじゃ」

マボー「食べてねーよ!収納してあるぞ。俺様の口の中から出し入れ可能だ。」

シグマ「すげー!中身どうなってんの?」

マボー「知らん。この中は小さい物なら5つくらい入れられるぜ。ハチミツだろ?ほらよ。」

そういってハチミツをシグマに返した。

シグマ(うーん。さすがにこれで腹の足しにするしかない。)

リオネ「ねーねー!シグマ君!ここのお屋敷に来てからどれくらい経ったかなー?」

シグマ「もう15日以上は経ってるよ。でも誰も助けに来る雰囲気がない。お父さんもお母さんも心配させているに違いないけど、この屋敷がバラ島の森にある以上場所がわかってるなら助けに来れるはず。」

リオネ「私たちが森に勝手に踏み入っちゃってから違和感あった?」

シグマ「そういや先頭にいたボン君が壁にぶつかったとかなんだとか言ってたのを覚えているな…。でもその時僕たちが見ている先は壁なんて何にもなかったから気にも留めていなかったけどなあ。」

マボー「ははぁん。お前らなるほどな。”連れてこられた人材”じゃなくてあそこの村に住みつく狐族とかいうやつかー!」

リオネ「私たち人みたいだけど体毛も基本きつね色だしすぐわかるでしょマボー!それに連れてこられた…って何?私たち連れてこられたからこうやって逃げようとしてるんでしょうがー!」

マボー「わりぃな。拾ってもらって埃も払ってもらってこれいうのは気が引けるんだがよ。シャトーに関する情報は言おうとした瞬間俺の体が自動で引き裂ける呪いがかかってるからな。お前らの役に立つためにも言えねえ。あと俺は目が見えてねえ、だから狐族かどうかも判別のしようがねーってわけよ。

でも俺っち色々と物知りだからシャトーに関する情報以外なら喋ってやるぜ。」

シグマ「その今言った連れてこられた人材っていうのはシャトーに関する情報ではないんだな。」

マボー「まあな。まあいえることがあるとすれば君たちは視野が狭すぎるってことだな。今お前らが屋敷に迷い込んでこの後どうなるか、この島の問題だけで考えてたら甘く見るぜ。ま、また何かあったら起こしてくれよな。」

シグマ「あ、ちょ!ま…」

 そういうとマボーは難しい話を二人の狐族に残し眠りにつくのであった。

リオネ「今は寝かせてあげよ。でも分かったことがあるとすればさー!私たちが来ることはそーてーがいだったってことだよね!」

シグマ「分からん、マボーの言うことを信用していいかどうかもまだ判断しかねるよ。」

リオネ「このマボーが嘘ついてるんだとしたらシャトーのことは言えないって私たちに言う必要がないと思わない?」

シグマ「なんで?」

リオネ「たとえ呪いが本当だとしても無視すればいいんだよ。まあそこだけ無視してたら多少不自然でも私たちがほかの質問に変える可能性を考えたんだろうけどさっ!それにやけに親切すぎるよ。ハチミツに関してもマボーがシャトーの超絶味方だったとする!ならハチミツの瓶は割るべきだよ!」

シグマ「誰かの命令じゃないと魔術使えないとか言ってなかったか…?」

リオネ「ごめん言ってない。」

シグマ「そこは普通に引くのね。」

リオネ「まあとにかく、ハチミツを出すも出さないもこの子次第だったのに出してくれたところから

私は信用できると思う。もしかしたらこのマボー君こそ魔法で本に変えられちゃったのかもしれないよー!キラキラキラリンリン♪ってね。」

シグマ「わかったわかった。とにかくこの部屋を出ないとな。」

 その時、昨日入ってきたドアが大きな音を立てて開いた。

リオネ「シグマちゃ、あっ間違えた。シグマ君!誰か来た!!!」


???「おーおーえらいこっちゃ。こんなとこで何してんねん。そこの薬品部屋は触ったらあかん・・・って言うてもなんか開いとるな。ここ暗証番号必要なんやけど…しょうもない小細工使ってんな。

シグマ君、あんたが身に着けた能力やんな?白状しい。罪は軽くしたるで。」

シグマ「僕の能力は教えられない。でもそこの部屋が大事だったのは申し訳ない。おなかが空いたから

空いてた瓶を貰っただけよ。」

???「だからどう入ったかを教えろ言うてんねん、話通じひんのか君は。」

シグマ「貴方は連れていかれてから変わったよ。26人のメンバーの中での最年長、レピニアさん…!」

レピニア「てかおい、レッサーお前も入ってこんかい。なんでドアの前でうじうじしとんねん。」

リオネ「あー!!!レッサー君だぁ!かわいい~~~~。」

レッサー「…」

レピニア「まあええわ。お前ら、ここの別荘な。もう何年も使われてないねん。」

シグマ「じゃあ出て行けと…?」

レピニア「なわけあるか。とっとと俺に捕まれ。」

リオネ「そういうと思いましたよっと!!!」

 その言葉を合図にリオネは飛び出しマボーをたたき起こす。

レッサー「ん。。。あの本は…なんですかね。ニアさん。」

レピニア「だからそういう呼び方やめい言うたやろうが!知らん。あの子こいつらの位置とシグマの能力だけは教えたのにリオネの能力だけ教えてなかったな!まさか肩持ってるわけちゃうやろな?」

シグマ(あの子…?それにこいつら使われていない別荘に俺たちのいる場所を突き止めてきた、他にも

仲間が隠れているのか…?)



レピニア「おいレッサー!何か来るぞ!お前の能力でわいを守れ!!!」

レッサー「はい。。。」

リオネ「妖狐術・九!氷結鉄塊!!!」

 リオネはとっさの判断で強力な攻撃がいいとふんで、代償無しの最大火力の氷結鉄塊を放つ。

レッサー「爆団子…!」

 そういうとレッサーが体を丸めた状態で氷結の前に立つと当たった衝撃ですさまじい爆発と共に

部屋が爆風で覆われた。

シグマ「なななななんだ!?」

リオネ「きゃあ~~~!」

 二人は広いとはいえ爆風に耐え切れず部屋の壁に激突した。

シグマ「いちちち…あれ、レピニアさんがいな…」

リオネ「シグマ君上!危ない!」

 レピニアはどういうわけか爆風が過ぎ去ってから何ともなかったかのように素早く動き、シグマの上を取り奇襲にかかる。

 シグマは爆風の衝撃で壁に激突し背中を強打したせいで立ち上がれずにいたせいで拳をもろに食らう。

シグマ「ぐっ…いって~」

レピニア「なんや?いって~ちゃうやろ。ちょっとお仕置き程度の拳やで。自分親からもげんこつくらってたやろ?わいはそういう家庭環境やったからな。相手に説得するにはまず拳や。手加減なしな。そしてそこのリオネちゃん、やっけ?村では派手な子っちゅうイメージしかあらへんかったけど、わいが手加減するおもてんなら甘いで。なめてたら…」

リオネ「貴方がどういう人かは知りませ~ん。でも私の大好きな人を貴方は今殴りました~。

悪いけど本気で行かせていただきます~こちらこそ言わせていただきます。

舐めてかかってくるなら痛い目見るのはそっちで~~~す!!!!!」

 レピニアは明らかにむかむかした表情でリオネをぐっと睨み歯をかみしめながら叫ぶ。

レピニア「後悔するなよ!!!自分らもどうせすぐわいらの仲間になるで!覚悟しぃ!!!」


登場人物

ミーコ

相変わらず臆病なフォルにびくびくされている。一夜を共に過ごしたが倉庫が明らかに汚いため、

寝るに寝れずイライラしていたらしい。それ以上のことは何もない。…はず。

フォル

相変わらず姉御肌なミーコにびくびくしている。

シャトー

相変わらず真意が読めない屋敷の主。

シグマ

リオネにデレデレされるとイライラする。

リオネ

シグマのことが好き。主張は常に強い。

レッサー

連れていかれたうちの一人。男の狩炎種。

普段から寡黙で、喋りたがらない。

髪型が長めで片目を隠している。

能力:ディフェンスボム

一定の衝撃が自分の体に加わると爆発する能力。

自分から能動的に爆発することは出来ず、能力者自身もその爆発で全くダメージを受けないわけではなく、攻撃を加えたものよりは小さいながらもダメージを受け疲労も溜まる。

レピニア

最年長の一人。男の狩炎種。

気が強く他の狐人とは違う喋り方をするのが特徴。

能力:???


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