表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
13/59

屋敷編.第十二章 縁の元

---18日目、昼。食堂---

 酷い打撃を受けたジーナを背負って一階の扉から食堂に入った。

デク「申し訳ない、僕がついていながら何もできずにこんなとこまで来て。」

ジーナ「別にいいのよ、あなた戦闘向きじゃない能力なんでしょ。私もシャトーからつけられた能力

は戦闘向きじゃないもの。クラゲちゃんに任せておけばいいじゃない。あの子なら男も顔負けぐふっ。」

デク「ご、ごめんねしゃべらせちゃって。とりあえず床は冷えるだろうからこの椅子を並べて…」

 そういってデクは食堂の椅子を横に複数並べてそこにジーナを横たわらせた。デクは自分の不甲斐なさを実感するしかなかった。その時大広間とは別の方向のドアが勢いよく開いた。

デク「誰だっ!?」

 キィィィ…

 食堂の大広間ではない方の小さな扉からあけて出てきたのはボンだった。

ボン「デク…!?デクなのか!!!!助かった…!」

デク「良かった…デク。誰か来てくれないかって思ってたぜ。そこで横たわってるのは…ジーナ?ジーナか!久しぶりじゃねえか!!!」

ジーナ「ちょっと、大声出さないで貰える?今ゴホッごっ・・・休んでるのよ」

ボン「ごめんごめん、2日ぐらいたってるよな?」

デク「ごめん、日数がどれくらい経っているのかは正確には分からない。でも幸いにもここには時計があるみたいだね…今は3時、多分明るさ的に午後だろうね。そんなの事より今はひとりかい?」

ボン「そうなんだ。今は一人でヤソが亡くなった。」

デク「なんだって…!?」

ボン「あのな、お前頭はいいけどこういうところで驚きすぎだ。もう俺たちは敵の敷地内で捕まっている。何が起こってもおかしくはない。」

 それはそうだ。僕は間違っていた…?でも死ぬことは悲しい。でも一刻もここから全員を連れ出して逃げ出さなくてはいけないのも事実。

 感情に揺さぶられずに現実を受け止めるしかないよね…。

ボン「それとタカとエイがいまだに行方不明だ。ビスケに関しては心身がやられていてこの扉の向こうの長椅子で寝ている。危険だがとりあえずそうも言ってられねえ。」

デク「そっちの班は壊滅的なんだね…僕の班も人の事言えないけど、唯一の頼みのフォル君もプレーン君に捕まっててとてもじゃないけど僕だけじゃ戦闘向きじゃないし何も役にたて・・・」バチンッ!!

 大きな音と共にボンはデクをビンタした。

ジーナ(流石に村の実力者のビンタは私でも受けたくないわね…)

ボン「今お前に出来ることはくよくよすることじゃねえ。村のみんなのためにお前が頭脳となって機能してくれることなんだ。狐人の頭脳として俺達を引っ張ってくれよ、頼む。俺だって悲しい気持ちこらえて今こうやって説明してるんだ。役に立てるか立てないかを考えている場合ではない。どうした、いつも村でテストの点数が悪くても訂正してくれていた時の眼差しはどうした。」

デク「ごめん…僕、何かくよくよしすぎてたね。目が覚めたよ、ありがとう。」

ボン「それでこそ村一番の天才だ。…でだ、お前はどう思う?今から言う事を疑いなく聞いてくれ。」

デク「分かった。」

ボン「ヤソが亡くなっていた場所はこの向こうの扉を入り左に曲がった部屋を進んでいくとちょっとした部屋に出るんだがそこが二階に続く階段が設置してある明かりがとにかく眩しいこの屋敷にしては少々狭い部屋なんだが、ヤソが二階から投げ出されたかのように包丁で喉を突き刺されていた。」

デク「その向きは?」

ボン「ヤソの死体は頭が二階の部屋の方に向いていたな。カラスの残骸もあった。あと一番の問題は

その上の部屋の甲冑の至る所に大きな植物が生えていたんだ。」

デク「んー…?それってなんか問題なの?」

ボン「そこに生えているはずない植物なんだ。天井から所々生えていたけど、その甲冑がある部屋だけ

明らかに戦った形跡みたいな感じで。」

デク「まああくまで憶測って感じだね。その植物自体がもしかしたら…」

ジーナ「ちょっと待って。」

 ジーナがちょっとケガが癒えた状態の体で立ち上がり自分の能力について話し始めた。

ジーナ「私の能力”スーパーリンク”」

デク「え?」

ジーナ「だから、スーパーリンクよ」

デク「その調子なら痛みは少し引いたみたいだね。そのスーパーリンクとやら説明してほしいな。」

ジーナ「女の子をせかす男の子はモテないんだぞ♡」

デク「君がそういうキャラじゃない事もお見通しね。」

ジーナ「まあいいわ、リンクは分かるわよね?」

デク「物のつながりの事だね。」

ジーナ「スーパーリンクは”能力で出されたものとその出した能力者を一時的に私が触れることで強制的に繋げ合わせることが出来る能力ね。」

デク「それとさっきの植物の話に何の関係が…!なるほど。その植物にスーパーリンクとやらを行う事でその能力の人間を炙り出すわけね。」

ジーナ「いいえ、私は行っても”それが誰かの能力によって生み出されたかただの屋敷に元々ある物質なのか”を判断することはできても”その能力が誰によって生み出されたものか”までは判別できないわ。」

ボン「お前…なんでじゃあ今話した。」

ジーナ「もう、話は最後まで聞いてよね。誰かの能力によって生み出されたものって分かればスーパーリンクで能力者と繋げた状態でその物質を切る、叩く、燃やす。とにかく何でもいいからこれらを行って能力者が屋敷でそこまで遠くに行っていなければ叫ぶと思うからそれを有効活用して炙るのよ。」

デク「それ痛覚までリンクしてるって言わなきゃ分からないよ…。」

ジーナ「そこまで賢い説明できませーーーーん。でもね、これだけは気を付けて欲しいの。”一度繋げてから能力者以外が触れてから手を離すと能力は速攻解除される”仕組みだから、私が一度リンクさせたらもう思いっきり切っちゃってくださいな!」

ボン「その斬るっていっても例えば思いっきりその植物がそうだとして植物を貫通させたり切ったりすればその能力者にも同じ傷が入るのか?」

ジーナ「それ重要?まあでも痛覚がリンクしてるだけだから実際あっちは切れてないよ。ただ衝撃によっては激痛が走るのは間違いないからこれを利用しない手はないってわけね。」

デク「分かった。じゃあボン君案内頼むよ。」


ーーーフォルVSプレーンーーー


 フォルはプレーンの不気味な技の数々に困惑していながらも一発も与えることなくプレーンの猛攻にひたすら耐え続けるしかなかった。

プレーン「辞めだ。」

フォル「はぁ…はぁ…辞めるとはどういうことだ。」

プレーン「別に君を殺す必要はなかったんだよ。今分かった。言葉だけの奴がいくら蔓延ってても僕の脅威ではない。ごめんな、フォル君。まあせいぜい頑張れよ。」

フォル「ま。。。待て!!!」

 必死の叫びもむなしくプレーンは足早に消えていった。


 フォルはもう体が限界だった。

 プレーンの謎の能力と共に二階の細い廊下で座り込んで次敵が来たらもうあきらめて命を差し出そうとしていた時下から声が聞こえてきた。

???「おい、上に誰かいんのかー?」

フォル(まずい…新手か…?もう此処までか…ごめん父さん)

???「ん?お前は…おおー!!!!フォルじゃねえかー!!!」

フォル「え?」

???「男がしょげてんじゃねえよー!」

 そういって強くフォルの背中をたたく。

フォル「痛い痛い…ごめん今見て分かると思うけどケガしてるか」

 そう言いかけるとやっぱり背中をたたいてくる。この人はあの問題児の姉妹の姉の方、ミーコ。

ミーコ「わりぃな。よく見たらケガしてんのか!それはそうとここはどこよ。」

フォル(そういえば檻から抜け出していた五人の名前はちゃんと聞いていなかった。でもクラゲちゃんは姉貴が~って言ってたし今思うとなるほど、

ミーコさんもじゃあ問題はないのか…それにしても苦手だ。)

フォル「ここは屋敷の…なんて言ったらいいか分からないけどどこかの部屋みたいだね。え、ていうかミーコさんはどこにいたの?」

ミーコ「ノーザって奴とのとらん…なんだったかな。ゲームに負けたんだよな。そしたらそこ、下の階にワープさせられたんだよ。」

 ミーコ。村の腕相撲大会、格闘大会、大炎大会(より強くて大きい、かつ美しい炎を即座に出せるかどうかを競い合う大会)などでも好成績を残し格闘大会ではあのボン君よりも強い。格闘大会では第2位。

そんな子が負けるなんてきっと正々堂々とした勝負じゃないってことだ。

フォル「ワープって…瞬間的に移動するっていうあのワープか。」

ミーコ「そうそう。びっくりしたわ。負けるって意外と悔しいのな。あ、フォルwwwお前負けたからそんな血だらけにwww。」

 流石にこんなケガしてたら言い返す気力もないし言い返すとあざが増えそうなのでまあいいやって思っておくことにした。

ミーコ「…とまあ冗談はさておき、そこの下の部屋。見えるか?」

 二階から少し身を乗り出せば見えるくらいの位置に、一階の部分に部屋があった。

ミーコ「とりあえず今日はそこで過ごそうせ。」

フォル「えっ?」

 つい声が出てしまった。流石に明日無事でそこの部屋を出れる気がしない。

ミーコ「大丈夫大丈夫!なんもしねーって!とりあえずお前ケガしてるし休むか!」

 安心できない、癒炎種とは聞いてるけど、なにせ暴力て・・・。

 ダメだ、考える余裕もないや。


 フォルとミーコはその部屋で夜が明けるのを待つのであった。


登場人物

デク

クラゲとミーコの姉妹が超苦手。陽キャ怖ひ…みたいです。頭脳担当

ジーナ

グリムの死を見届けていた。

能力:スーパーリンク

能力者が他の能力者によって留まっている物体を触る事で瞬時にそれが”能力で生み出されたもの”か

”元々そこに存在していた物”かどうかを判別でき、前者の時に効果を発揮しその触れた物質とそれを

生み出した能力者と痛覚のみをリンクさせ、一度衝撃を与えると解除される。

発動条件:自分の能力を意識して物質に触れる。

解除方法:能力者以外が手を触れて放す。

特徴としてその能力が働いている場合の物質はその能力を出した人物でも元に戻したり

消滅させたりできない。解除させるまでは原則その場にあり続ける。

ボン

ちょっとアホ。

フォル

ケガしてるのに背中叩くのを辞めないミーコに対しての苦手意識。陽キャ怖ひではない。

プレーン

プライドをズタズタにすればいいと気づいた…らしい。男の狩炎種。

ミーコ

女の癒炎種。クラゲのお姉さん。髪はオレンジ色。やっぱり陽(ry


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ