序章 狐人の日常
ここはローズランド、通称「バラ島」と呼ばれる島。
狐族という狐の姿をした人(狐人)が昔から住み着いていて、部外者は決して容赦しない狐人だけがいる島である。
島全体から見て、東が狐村、北が天国のバラといってバラのみが咲く花園があり、南には断崖絶壁の崖から壮大な海が見える場所 通称「フォックスクリフ」があり、そして西には島の三分の一はあるであろう森がある。
ある朝のこと、バラ島に住んでいる一人の少年がいた。名をフォルという。
狐村に住む住人の一人、伝説の狐戦士フォバルトの息子である。
ここ狐村は一人一人に八畳程度の広さの小屋が与えられていて、狐会議の日やフォックスパーティーと呼ばれる食事会以外は群れで行動することは規則上禁止されている。
因みに、規則上六歳までは家族と共に暮らせる。
なので常に西にある森にて狩りをして食料を調達しなければいけない。
七歳から自給自足の生活を強いられるため、狐族一人一人はとてもたくましく、強くなっていきフォックスパーティーで自分の実力を見せていくという習慣がある。
狐族、といっても三つに分類され、幻炎種、狩炎種、癒炎種がいる。
中でも稀有なのが幻炎種であり、今のところ村長であるフォス(愛称はフォス爺)とフォバルトとその息子のフォルの三人しか確認されていない。
大半が狩炎種であり、二番目に稀有な癒炎種という構成である。
何気ない日常、何不自由ない暮らしのできるこの村で一人の少年フォルが目覚めていた。
「ふぁぁ、良く寝たあ…今日も絶好の狩り日和かあ さて、獲物は何にしようかなあ」
狐族のオスの一日は早朝(朝五時)に起きて朝昼晩と獲物を調達する。
バラ島にはメスの狐が一年間毎日違う狐人で役割分担をして野菜などを畑で作っている。
そして幻炎種である。
そして村一番だらしのなく、時には同年齢くらいの狩ってきた獲物を横取りしたりとかなり他力本願な性格で自分から狩りに行こうという日はとても珍しかった。
そんな性格だが、仲のいい狐人は多い。
ちなみに年齢は18歳だ、ちなみに平均寿命は人間とさほど変わらない。
「さて、今日は一か月ぶりの狩りだ!張り切っていかなくちゃね。体もなまってることだろうしいい練習台になりそうだ。」
そういってフォルは森に一目散に入っていった。
この森はあの異様な怪物の住処に過ぎないことは後にわかる事である…
登場人物
フォス(村長)
フォバルト(100年前に存在したといわれている狐闘団のリーダー)
フォル(フォバルトの息子、今は普通に父親がいるのでフォバルトは叔父に当たる)
狐族解説
狐族…約2000年前に存在したといわれているどでかい岩の島「ザングランド島」に隕石が落ちた時に
分断され、その際に出来た一つの島にいた狐の生まれ変わりだ。
狐は猿人と違い、隕石にぶつかって島が分断されてそのまま島が太平洋のど真ん中まで
流されてしまい飢えてしまうと感じた狐は何とか二息歩行で歩けるようにと頑張り、
今の狐族に至る。
狐人全員が隕石を見た時に学んだ火を操る能力を生まれた時に自分がどの種に分類されているのかを
フォス爺に聞き、七歳までに完璧に会得しなくてはいけない規則がある。
もし会得出来ない場合は殺してしまうという規則だが、今のところ殺された事例はない。
生まれた時点で狐人は火を少なからず操れるので、七年のうちに会得できる難易度がかなり
簡単なのである。
ちなみに種によって火を出せる部位は違う。
癒炎種…主に緑色の火を尻尾からだしそれをポーションとして容器に詰めたり、直接けがの部位に
尻尾をあてがうことで回復したりできる。
狩炎種…主に赤色の火を手からだし森で狩りをするときに使用する。しかし、森で火を使えば
たちまち大火事になりかねないので狩炎種の火で相殺させる役として必ず一人はパートナーとして
狩炎種は癒炎種と同行しなくてはいけない規則がある。
幻炎種…主に青色の火を出す。幻炎種はほかの種と違ってどこからでも火を出すことができる上に、自分の幻影を作り出すことができる。
青色の火は狙った獲物(生物)だけを対象に燃やし続ける性質、燃え広がる事はなく幻炎種が出す火はとても自然に優しい。
仮に外れた場合でも、無機物には反応せずすぐに消える。
幻影に関して、幻影を出せる数に限りはないが、一度に出す数を多くすればするほど体力の消耗が激しくなる上に、幻影一人一人の意思が統率出来にくくなるため、フォルは基本的に五体までとしている。