第2話
今日はついにテストの日だ。
あの後私もユリアも頑張って練習と勉強をした。
多分大丈夫だ、絶対転校してやる⋯⋯!
まずは算術から始まる。
だめだ、全然勉強してなかったからか全くわからん⋯⋯。
前の方に座っているユリアを見る。
カリカリカリカリっ!
え?ええ?⋯⋯筆記用具の動くスピードが尋常じゃない⋯。
私は一番後ろの席だからわかりやすいんだけど、ユリア程のスピードで解いてる人はほとんどってかいない。
これはユリア転校行けそうだな⋯⋯。
とりあえず算術は捨てて魔法の復習しよっと⋯⋯。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって算術テストは終わり。
次は武術だ。
よし、武術は今までのようにそれとなく頑張ろう。
そして武術も終わり。
遂に魔法のテストの時間だ。
⋯⋯頑張ろう⋯!
「それではここにある的に向かって得意な魔法を打って。あ、初級魔法ね。1人3回まで魔法は使ってよし。的は3枚あるから3枚とも壊せるのが理想ね。じゃあ頑張って」
「【木よ、目の前の的を壊せプラントパンチ!】」
「【火よ、ファイヤーボール!】」
皆壊せても2個まで。3個壊せてるのはいない。
次はランデル・ロットバルトだ。
「【風よ、ウィンドカッター!】」
シュドッ!
1つ目の的に穴が開く。
「【風よ、ウィンドカッター!】」
2つ目にも穴が開く。
このまま風属性の魔法を使えばいいのに何を思ったのか彼は普段使わない火属性を使おうとした。
多分目立ちたがり屋の彼の事だから普段あまり使わないのでもできる、みたいなことを言いたかったんだろう。
「【火よ、ファイヤーボール!】」
でも、凹ませて終わりだった。
そして私の番だ。
まずは1つ目。
「【水よ!ウォーターレーザー!】」
よし、穴が開いた⋯⋯!
次、2つ目!
「【火よ、ファイヤーバレット!】」
これも穴が開いた⋯⋯!
最後3つ目!
「【光よ!ライトレーザー!】」
これも穴が開いた⋯⋯!やった⋯⋯!
「え⋯⋯?」
「いや、あのブスで無能がありえないだろ」
「絶対インチキしてる⋯⋯!」
いじめっ子うるさい。これが私の実力だから。
ランデルなんで口開けて呆然としちゃってるじゃない。なんて言うか面白い。
「サラさん、すごいじゃない!次は実戦よ!教師と戦ってね。これは上級魔法まで使って大丈夫よ。まぁ上級魔法は使える人はいなかった気がするけど⋯⋯。後、ドーム内なら死なないようになってるから安心して戦ってね」
先生、私は使えます、ハイ。
まぁ隠してきたからね。目立ちたくなかったんだよ⋯⋯。
⋯⋯。
⋯。
次はランデルか。どんな戦いするのかな。
「【風よ、吹き荒れろ!ウィンドストリーム!】」
これはランデルだ。そして中級魔法かな。
先生に向かって暴風が吹き荒れる。
「ふ、まだまだだな!【木よ守れ!プラントシールド!】」
先生の魔法が、暴風から先生を守る。
そして、
「これはどうだランデル?【水よ我の呼びかけに応え氾濫せよ、ウォーターウェーブ!】」
津波のような水がランデルを襲い、呑み込む。これは、中級魔法。でもかなり難しいやつだ。
「ちっ!【光よ、シールド!】」
初級魔法を、発動するランデル。でも甘い。
先生の魔法にはたくさんの魔力が込められてる。魔法は込められてる魔力が多い程強力な魔法となる。
それを初級魔法では凌げない。
バリンっ!
何か砕けるような音がして、ランデルの、シールドが打ち砕かれた。
⋯⋯ランデルの負けだ。
これで私が勝つか善戦すれば転校できるはず⋯⋯!
シールド内に入る。
さぁ未来をかけた戦いが始まる。
まずは⋯⋯
「【火と、風よ、爆風と熱風を!ファイヤーウィンド!】」
これは混合魔法。2つの属性を一緒に使う。かなり高度だけど初級魔法を混合させるくらいなら私からしたら簡単だ。
「んなっ!ちっ!【水と木よ、守れ!プラントシールド!】」
これはさっきのと同じことをやってるように見えて違う。木の周りに水の魔力を、纏わせているから火も風も防がれる。
「これでどうだ!?【木よ、動け襲え、植物の氾濫!プラントアタック!】」
これも中級魔法。にしても魔力多いなぁ。
じゃあ。
「【聖なる光よ、我が呼びかけに答え我を守る結界をつくれ!ハイシールド・セーフティワールド!】」
これは、初公開上級魔法!
これはかなり便利で発動者の魔力が切れるまで結界の部分にいれば発動者のみ攻撃は通らない。
まぁ破られたら終わりだけど。でもかなり魔力込めたし、中級魔法では破れない。
「はぁっ!?上級魔法⋯⋯!?」
先生めっちゃ混乱してるし。
じゃあもういっちょ!
「これで終わりです!【水よ、我の呼びかけに応えよ!海に住む者が支配できる世界を作り上げよ!シーワールド!】」
先生の周りに海ができる。そう、これは水の上級魔法。相手の所に海中王国を作り出す。抜け出すのは不可能に近いと言っても過言ではない。
まぁ炎属性使える人は上級魔法使って蒸発させちゃうんだよね、怖いよね。
「えぇっ!⋯⋯うわぁぁぁ!」
なんか⋯⋯先生、ダサい⋯⋯。
まぁこれで転校はできそうかな!よかったよかった!
後日、結果発表の日。
私は魔法の試験をなんと1位で通過してしまった。これなら余裕で転校可能だろう。
ユリアは算術のテストで2位。1位には届かなかったものの、十分転校できる。
「ユリア!やったよ!これで転校できそう!」
「ね、サラ!おめでとう!まさか上級魔法2つも使えるとは思わなかったよ⋯⋯」
「いや、隠してたんだよ、ほら能ある鷹は爪隠すっていうじゃん?」
「ああ、確かにね。てか、私も転校はできそう、よかったぁ」
「うん!」
今日もやっぱり嫌がらせは多かったけど、直接来ることはあのテスト以降なくなった。
やっぱり本気出したからかなー。
怖がってんのかな。まぁ、いいか。
いじめられないし、その分、いいとしよう!
今日は二者面談の日だ。先生と生徒でこの前のテスト結果も踏まえて、どういった道を進むのか話し合う日。
ユリアが先に呼ばれて入っていった。
⋯⋯。
⋯。
あ、ユリアが出てきた!
「サラ!私、転校枠入れそうだよ!1位の子が転校を希望しなかったっぽい!ね、サラも転校枠取れるよ」
「うん、取れるといいなぁ」
「ほら、次でしょ?頑張って!」
うわぁ、緊張するな⋯⋯。
ふぅ、深呼吸、深呼吸。
失礼しまーす、っと。
「えっとサラさんね。貴方は魔法テストで1位。十分すぎる結果ね。さて、貴方はどんな道を進みたいのかしら」
「はい、先生。私はシルビア学園との交換交流である転校枠を望みたいです。正直言ってアンデルト王国魔法学園へは進みたくありません」
「それはどうしてかしら。あなたの成績ならアンデルト王国魔法学園で十分やっていけるし、その年で上級魔法2つも使えるなら将来も、安泰よ?」
「私は⋯⋯。このままのメンバーで進学するのが嫌なんです。今までたくさん辛い思いをしましたし⋯⋯。新しい場所で第2の人生と言ったら大袈裟ですが、今度こそ楽しく過ごしたいんです」
「そう⋯⋯。私達教師としては貴方には魔法学園へ進んでほしいのだけど、それが貴方の希望なら仕方ないわね。いいわ。貴方にシルビア魔法学園への転校枠を許可します。この書類を書いてきてね。ああ、親御さんのサインも必要だからちゃんと貰ってくること。あと、締切は1週間後ね」
「⋯⋯!はい!ありがとうございます!!」
⋯⋯やった!転校枠、取れた⋯⋯!これで救われる、よね。
新しい学園で新しい出会いがあればいいなぁ。
「ユリアー!私、転校枠取れたよ!これで2人でシルビア学園進めそうだね!」
「ほんと!?おめでとう!ふふ、と言っても私は算術学園、サラは魔法学園だけどね?」
「でも同じ敷地内でしょ?いつでも会えるじゃん」
「うん、そうだね。楽しみだね」
「うん!」
親のサインを貰うのは大変かもしれないと思ってたけど、両親としては私なんてさっさと厄払いしたかったらしく、すんなりサインもしてくれて、助かった。
とりあえずこれでランデル達と離れられる⋯⋯!
その事への喜びを噛み締めながら私はアンデルト王国学園中等部を卒業したのだった。
今回も最後までお読み下さりありがとうございます。
誤字、脱字等ありましたら報告して下されば幸いです。
次回の更新は来週を予定しております。(今回みたいに早まる可能性もありますw)
今後ともよろしくお願い致します。