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アップルティーの様に甘い香りだけでなく他の茶葉であろう味もしっかりとする。
そして、後から追いかけるように柑橘類の爽やかさが口の中を満たす。
特にスライスのレモンや砂糖などは入っていないのだが、不思議なことにいつまでも口の中には留まらずスッと口の中を通り過ぎてゆく。
セルフサービスだが、これは金をとってもいい出来だと思う彩斗であった。
その様子を見ながら、彼女もグラスに口をつけ驚いた顔をしている。
ようやく表情が戻った。
これで心置きなく飯が喰えるぞ、と彩斗は安心して店長を見やる。
タイミングを見計らっていたかのように目の前に立派なソーセージを使ったホットドックと茹でられたソーセージが出てきた。
この店はソーセージを売りにしていて、ホットドックには少々太めのソーセージとパン、茹でソーセージは微かに白濁したゆで汁と共に出てきた。
これは曾祖父の代からドイツのヴルストに近づける様に工夫しながらやってきたのである。
久しぶりの料理に思わず涙ぐみそうになったが、見た目はもう十二分にいい大人である。
彩斗はそれをごまかすためにもまずはホットドックに噛り付いた。