表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
存在しえない者たちへ。  作者: ロマン砲
4/19

3

 

 訓練学校での約2年間遊びになど行くことはなかったので正直街に出てもする事など思いつくことがない。



 PMC認定を取り実際に活動していた時期のほとんどは、警備会社のような仕事ばかりで銃撃戦など行ったことがない。

 訓練は相変わらず続けているし身だしなみも清潔に努めているが、そもそも帯銃なんぞ法律で認められている程度である。細かい制約などはたかが知れている。


 公共機関の多くは立ち入りを制限しており、立場としてはヤクザと変わらないではないかと思うくらいである。

 いや、寧ろなまじ直接的な力を持っているせいで地域によってはヤクザより扱いは悪いと聞く。




                 閑話休題。




 ともかく数年前の記憶を頼りになんとか歩みを進めていると目的の店を見つけた。

 その店は相変わらず看板を小さく掲げているだけで間取りの関係上なのか小さな入口と光を取り込むための窓が複数あるだけだ。



 飾り気のない木目調のドアを押してはいると、中には既に何組か先客が居た。

 休憩中であろうOLの姿や、マグカップ片手に読書に耽る中年男性、色違いのニット帽をかぶった2人組などである。

 彩斗が入ると、ソフトモヒカンの熊のような大男が驚いたようにこちらを見たが、一瞬笑って調理に戻る。


 熊男に見覚えはない。それが真ん中に大きく「菜食主義者」なんてわけのわからないプリントのされたエプロンをしていれば尚のことである。


 店内は特別広いわけでもなく、とりあえず一番近い席に、と彩斗はカウンターに着く。

 座ってから気が付いたが2つ隣にブロンドの美人が居た。



 PMCの台頭により外国人は珍しくとも何ともなかったが、ここまで端正な顔立ちをしているとモデルか何かかと思えるくらいである。

 その証拠に先客の何人かはチラチラと横目で見ながら話し合ったり、積極的な男達なんかは今にも声を掛けようとする始末である。

 彩斗も確かに目を奪われたが、本来の目的は彼女ではなくこの店の料理であることを思い出し注文をしようとする。


 すると先ほどの熊男がちらりとこちらを見てからボソリと言った。




「・・・いつも食べてたのでいいのか。」


 これではっきりとした。 彼は彩斗が高校生の頃からこの店にいた店長なのだ。


 確かに初めてこの店に訪れてから、色々とお世話になった。


 しかし不思議なのは彩斗の記憶ではソフトモヒカンでもなければ熊のような大男ではなかったはずだ。

 寧ろアイドルやってますと言って通じるような線の細いイケメンだったと記憶しているのだが・・・。


 まぁ、いいか。出てくる料理に問題がなければ今の彼にとっては何の不足もない。

 それが楽しみで今この店にやってきたのだから。

 今度時間を見つけて家族と共に来てもいい。きっと気に入るだろう。



 そして料理を頼んで待っている間手持無沙汰なので、妹に携帯で昼食を取ってくることを伝え何か飲み物でも買ってこようかと聞く内容を送った直後に怒鳴り声と共に鈍い音がした。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ