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存在しえない者たちへ。  作者: ロマン砲
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 時間は少し遡ること数時間。ここ神奈川でオリンピックが開催される記念すべき年に彩斗は街をぶらぶらと歩いていた。

 親のコネクションとやらで開会式をVIP席同然の場所で見られるからお前も出席しろと妹から連絡がありアパートから出てきた。

 本来ならばスポーツの行われないパレードなど腹の足しにもならないので行く気はなかったのだが、

「ここ数年訓練学校の為実家を離れていた上就職しても顔を見せないのにこんな機会でもなければ会えないでしょう!出て来い。」

 と言われて、それもそうだなぁ、と思いやってきたのだ。

 しかし見ていても暇なものは暇であるし、せめて寝てしまわないようにと少しお腹を膨らましてから行こうと街へ繰り出したのだ。

 ここ数年顔を出せていなかったが行きつけのお店があったのを思い出し記憶を辿りながら街中へと歩んでいく。




 お祭り騒ぎの中人ごみをうまく避けながらしばらく歩いていてやたらと目につく人たちがいる。

 性別や人種はバラバラだが共通点がある。それはこの日本で銃をぶら下げている事だ。

 もちろんマガジン着けていないが一昔前では考えられないようなことである。

 これには簡単な理由がある。彼らはPMC・民間軍事会社であるのだ。




 なぜ日本でPMCが当たり前のように銃を見せびらかして歩いているのか。

 これも単純な理由である。4年前、日本で大規模なテロ事件が発生したのである。

 最初は爆破テロやサイバー攻撃など人々の予想の範囲内の事件が起きた。ここまではいい。

 問題はその後だ。

 こともあろうか首相官邸周辺で大規模な銃撃戦が起きたのだ。

 この事件により当時の首相を始めとする政治家が何人も殺害され、警察の特殊部隊はおろか自衛隊員にまで死傷者多数を出すという、安全国家日本では未曽有の事件が起きたのだ。



 銃器による傷害事件は今までにわずかばかり発生していたが、ここまでの規模を見過ごしての大量殺戮は日本史上ほかにないことであった。

 この事件により現在の首相が就任後

「日本の安全神話を崩壊させないためにも、警察・自衛隊に次ぐ新たな抑止力が必要だ。」

 と声明を挙げ国家武装自衛隊なるものを設立した。

 その流れに乗るようにアメリカを始めとする世界中の国から我が国のPMCを活用しないかと打診が来たらしい。



 その結果、日本・海外を問わないPMCが乱立しているのが現状である。

 悲惨なテロは未だに人々の記憶に新しくその必要性に異を唱える者も少なくはないが、それ以上に自らの安全性を確保してくれるならばと享受している人たちが大多数である。



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