閑話◇3話オマケ◇
「つっかれたァ……」
俺はカツラを取って一息ついた。本当に疲れた……。男どもには美人だと囃し立てられ、そのうちの一人に色仕掛け的なことをし……。もう、なんつーか濃いわ。色々と。
「やはり今日一番は、クロードの色仕掛けですね」
ノエが、俺の気にしていたことをズバリと言う。おい、傷つけるな、労れ。
「まぁ、あれは驚いたよなぁ。いきなりフェンリルがあのおっさんを引き寄せたから、殴るのかと思いきや、なんか小声で言って、見る見るうちにあいつの鼻の下が伸びて……」
カロンは思い出したのか、笑いながら言う。
「クロード、ヘルさんの真似をしたと言いましたが、もう彼女を越えているのでは?」
ノエが含み笑いをしたまま、問いかけてくる。分かってないなぁ。
「無理無理。あいつ昔、一国の王を誑かして、国一つ滅亡させたんだぜ?」
ノエとカロンの笑い声がピタリと止まる。
「正確には、あいつは滅亡寸前まで追い込んだ、だな。なんか、誑かしては、貢がせ、ってのを繰り返してたら、国の財政が困難に。しかも、その頃になって、ヘルのそいつへの興味は無くなって、そのまま財政を立て直すことも出来ず、滅亡って訳」
二人の顔は引き攣っている。うん、分かる。俺もこの話聞いた時は、同じ表情だった。
「そ、それについてヘルさんは……」
ノエの恐る恐るの質問。多分、罪の意識とかそういうのが聞きたいんだろうけど……。
「あ?
『へぇ、そうなんだー、残念っ。ところでね、この前大きなダイヤの首飾り貰っちゃった。見てみてー』
だとよ」
ノエとカロンは、あんぐりと口を開けて驚いていた。城に戻ってから、ヘルの事を凝視していたのは言うまでもない。