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◇プロローグ◇
自分の乱れた呼吸音が五月蝿い。1歩進むごとに靴裏にへばりつく落ち葉が煩わしい。
冷静になるべきなのに、頭の中には、
“なぜこうなった?”
これしか浮かばない。全く冷静になんてなれない。
曲がりなりにも、世界最強の種族と謳われている俺が追い詰められているなんて。ましてや、その場所が普段自分が暮らしている森だなんて。認めたくない。
更に言うなら、自分を追い詰めている相手が『小娘ただ1人』だなんて……。
__認めたくない、認められる訳ないだろッ!
そんな事を考えている間にも、いつどこに仕掛けたのかは知らないが、前方から矢が何本も飛んでくる。ギリギリ頭を下げて避け、また走り出そうと頭を上げる、と。
「__チェックメイト、です」
《バチィッ》
火花が飛び散る音、首元に伝わる電流。脳が焼けるような痛みと共に、ブラックアウトしていく視界の中、最後に見たのはスタンガンを持って俺を見下ろす、赤い少女……。
初・小説です!拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします!