閑話◇4話オマケ◇
「あ、オレも今日から此処で住ませてもらうから」
なんかデジャヴ!!
「なんでだよ!お前、つい昨日まで森で暮らしてたなら、拠点にしてる場所あるだろ?」
「あるけどさ、やっぱり屋根あって、飯もある場所の方がいいじゃんか」
この言葉を聞いた、俺とノエは、こいつは一体どんな生活をしていたのか、と考え、そして脱力した。
「という訳だから、頼んだぞ。フェンリル」
「カロン。彼の名前は、クロードです。本人に了承も得ずに、そうやって呼ぶのは__」
「あァ、それは別にいいよ。俺も勝手にカロンって呼ぶし。それと、此処に住むって話。いいよ、今更ガキが一人増えようが大した違いはねェし」
俺がそう言うと、カロンよりも、俺らの話を聞いていた、ノエの方が、安心した表情をした、気がする。例によって例の如く、アイツの表情はあんまり変わんねェから、よく分からないが、雰囲気が和らいだ気がする。
***
「……リリー」
「やめてください」
カロンに使わせる部屋を、確認させたあと、風呂に入れた。彼がいない今、同じようにノエを呼んだら、嫌がられた。
「なんでだよ、あいつはいいんじゃん。それに可愛いぞ」
「私、【赤ずきん】だから、雰囲気的に、赤いじゃないですか。なんだか、“赤い百合”って、嫌なんですよ。私は、あくまで“アマリリス”です。カロンが呼ぶのは幼い頃からですし、諦めてます」
譲れないもの、いわゆるプライドってやつか。適当に、なあなあで過ごしてきた俺には、縁の無い言葉だな。
「でもよ、“赤い百合”って、優しさとか、暖かさとか、希望って言う、プラスなイメージの花言葉ばっかだし、俺はいいと思うぞ」
俺が、それを言うと、ノエは目を真ん丸に開いてこっちを見ていた。
「な、なんだよ……そんなに見て」
「いえ……。花言葉がそんなにすぐ出てくるなんて、益々、乙女のようですね」
「なッ!!それどういう__」
「どうしたんだ?」
失礼な事を言ったノエに、掴みかかろうとすると、タイミング良く風呂から出てきたカロンが、タオルを頭に乗せたまま、不思議そうな顔をしている。
ノエはというと、俺がカロンに目線を向けた隙に、キッチンへと逃げていった。
「……、なんでもねぇ」
もう、疲れたからいいや……。
そんな感じで、俺の家にはもう一人、居候が増えた。