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アマリリスと狼  作者: 鷹弘
第1章◇アマリリスと狼◇
12/53

閑話◇4話オマケ◇

「あ、オレも今日から此処で住ませてもらうから」

 なんかデジャヴ!!

「なんでだよ!お前、つい昨日まで森で暮らしてたなら、拠点にしてる場所あるだろ?」

「あるけどさ、やっぱり屋根あって、飯もある場所の方がいいじゃんか」

 この言葉を聞いた、俺とノエは、こいつは一体どんな生活をしていたのか、と考え、そして脱力した。

「という訳だから、頼んだぞ。フェンリル」

「カロン。彼の名前は、クロードです。本人に了承も得ずに、そうやって呼ぶのは__」

「あァ、それは別にいいよ。俺も勝手にカロンって呼ぶし。それと、此処に住むって話。いいよ、今更ガキが一人増えようが大した違いはねェし」

 俺がそう言うと、カロンよりも、俺らの話を聞いていた、ノエの方が、安心した表情をした、気がする。例によって例の如く、アイツの表情はあんまり変わんねェから、よく分からないが、雰囲気が和らいだ気がする。


  ***


「……リリー」

「やめてください」

 カロンに使わせる部屋を、確認させたあと、風呂に入れた。彼がいない今、同じようにノエを呼んだら、嫌がられた。

「なんでだよ、あいつはいいんじゃん。それに可愛いぞ」

「私、【赤ずきん】だから、雰囲気的に、赤いじゃないですか。なんだか、“赤い百合”って、嫌なんですよ。私は、あくまで“アマリリス”です。カロンが呼ぶのは幼い頃からですし、諦めてます」

 譲れないもの、いわゆるプライドってやつか。適当に、なあなあで過ごしてきた俺には、縁の無い言葉だな。

「でもよ、“赤い百合”って、優しさとか、暖かさとか、希望って言う、プラスなイメージの花言葉ばっかだし、俺はいいと思うぞ」

 俺が、それを言うと、ノエは目を真ん丸に開いてこっちを見ていた。

「な、なんだよ……そんなに見て」

「いえ……。花言葉がそんなにすぐ出てくるなんて、益々、乙女のようですね」

「なッ!!それどういう__」

「どうしたんだ?」

 失礼な事を言ったノエに、掴みかかろうとすると、タイミング良く風呂から出てきたカロンが、タオルを頭に乗せたまま、不思議そうな顔をしている。

 ノエはというと、俺がカロンに目線を向けた隙に、キッチンへと逃げていった。

「……、なんでもねぇ」

 もう、疲れたからいいや……。


 そんな感じで、俺の家にはもう一人、居候が増えた。

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