あの子との俺らのデアイ
ここは社会の裏側…表の世間からは『影の街』などと呼ばれている。
そんな裏社会の世界では、法などはもはや意味はなく権力と金だけがあれば全てを思い通りに出来る。
例え……他人を犠牲にしたとしても。
しかし、そのルールにあがなおうとする人達もいる。それが俺の所属している団体『ルドベキア』の人達だ。この団体名は花が好きな団長が考えたそうだ。ルドベキアの活動内容を一言で言うと、人助けだ。
とは言っても、違法薬物や人身売買取の取締りなどを主にしていて血なまぐさい事に巻き込まれる事も多い。
しかも人身売買では世界に有名な貴族や病院も関わっており、強力な武器や沢山の護衛に救出を阻まれるので俺らも命懸けだ。
今日は、人身売買が行われるという噂の場所に来ている。人間が人間を売り買いするなんて本当にここは腐っている。売る方も売る方だが買う方も買うほうだ。
「先輩、どうしますか?」
無線で一緒に現場に潜入している先輩に指示を仰ぐ。
「とりあえず奴らの様子を見ろ。」
「分かりました
もうそろそろオークションが始まるらしく続々と会場に人が入ってくる。どの人も身分が高そうな立派な服を来ている。
俺たちはこうやって、多くの人身売買グループを今まで捕まえているが一向に減っていない気がする。
手と足に枷を着けられた女性が男に連れられてステージ上に出てきた。
「この女は近くの森で捕まえたもので見た目も良く………。ではまず1000万円から…オークションをスタートします!」
「1100万だ!!」「1200万出すぞ!!!」
「他はいますか??居ないので1200万円で落札!」
今すぐ奴らを切り捨ててしまいたいがここで下手に動いたら、今、出入口を封鎖するために行動している他のメンバーに迷惑がかかってしまう。我慢しなくては…。
それからも何人かの人が商品として出てきては値段を着けられていった。
「次はなんと…今日の目玉商品です!
特殊能力を持つ少女です!その能力、ここで実演してみましょう!!」
先程までの人のように手足に枷が付いている少女が出てきた。
「ここに先程ナイフを刺したカエルが居ます。なんとこの瀕死のカエルにこの少女の血液をふりかけると…」
そう言って司会の男は少女の腕を切りつけた。
「やめて、痛い……誰か助けて!!」
叫ぶ少女の声を聞いて客達は笑っている。
司会はカエルに切りつけた腕から流れる少女の血をかけた。
「ほーら、見てください!この少女の血液には怪我を治す力があります。」
カエルの背中に空いていた大きな傷はきれいさっぱり無くなっていた。
更に司会は続ける。
「しかもこの力は血液だけではありません。涙にも同じ能力があります。ちょっとお待ち下さい……」
腕から血を流す少女を男は鞭で打ち始める。
「うぅ…痛いよぉ……。」
「ほら、早く泣け!!お前の涙が必要なんだよ!!」
ここから
おい、なんなんだこれは……
どうしてあの子は自身と同じ人間に痛めつけられなくてはならないのか?どうして?
パシッパシッと響く鞭の音は俺の理性を消した。
(先輩、すいません。もうじっとしてられません。)
俺は腰に差しているサーベル手をかけ、ステージの方に駆けだす。
会場はパニック状態だ。と同時に先輩から無線が入る。
「おい!!大丈夫か!?俺らが行くまで持ちこたえろよ。」
騒ぎを起こした張本人を心配してくれるのだから本当に優しい人だ。
貴族達は混乱に乗じてステージの左側にある非常口から外に出ていく。
だが今は人々を救出するのが優先だ。
「よっ、と。」
ジャンプしてステージの上へ登り、怪我をしている少女の前に立つ。目の前には怒り狂った司会者がいる。
「こんにちは、裏の街のお巡りさんこと、ルドベキアの者です。」
「お前らのせいで……今日のオークションが台無しになっちまっただろ!!」
見渡してみると周りは敵だらけだ。
さぁここからどうしようか。




