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幼女の腹の中３

　彼女が初めて意識を覚醒させたのは、酷く明るい場所だった。

　網膜を焼くような光だった。目を開きたくなんてないのに、否応なしに両瞼を持ち上げられている。光線が、視神経を通して彼女の脳を痛めつける。痛い、やめて。そう叫びたかったのだが、彼女はまだ言語を知らなかった。

　だから、彼女は泣いた。感覚のままに、生理的に。

　ばちばち。炸裂音。それは、いわゆる拍手喝采というものだったらしい。だが、当時の彼女にとって、それは恐怖を煽られる爆音でしかなかった。

　歓声も、口笛も、何もかも怖い。

　目の前が真っ白で、何がなんだかわからない。無駄に敏感な聴覚神経の機能を停止させたかったが、彼女は手で耳を塞ぐという方法すら知らないほどに、生まれたてだったのだ。

　そんな彼女が、生まれて初めて抱いた感情。それは、『死にたい』という、至極在り来たりな自殺願望だったのである。