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南北の海峡 -The Split Fate-   作者: 伊東椋
第二部 運命の交叉路
14/63

12 咎の記憶 一

章の区分を勝手ながら変更させていただきました。あと題名も。


今回は少しえっちです。苦手な方はご了承ください。

 初雪が降る夜―――俺は捨てられた。



 雪が舞い降る中で、孤児院の前で無造作に置かれた籠の中で泣いていた赤ん坊が俺だったと教えられた。

 孤児院に拾われた俺は、陰惨を極めた過酷な環境の中で育った。俺は元赤軍の兵士だと酔い潰れてはいつも威張り散らすどうしようもない院長に、孤児院に寄付される金目当ての薄汚い職員たち。彼らは酒を飲んでは、いつも孤児院の子供たちを苛め倒していた。俺も散々殴られては蹴られた。特に俺の目を見ては、職員たちは皆が目の敵にした。


 「何だ、その反抗的な目は」


 俺の目を見た職員は誰もがそう言った。生れつきなのか、赤ん坊の頃からこんな環境の下で育ってしまったからなのか、俺の目つきの悪さは無意味に職員たちの気を障った。視線が合っただけで殴られる始末。職員たちによる暴行は日常茶飯事だったが、特に俺は酷くやられた。

 子供たちに暴行を働いては笑う職員たち。生気を失い、大人を信じられなくなった子供たち。俺もまた人を信じられることなど出来なくなっていた。信じられるのは自分一人だけ。生きていくには、自分自身の力で乗り越るしかなかった。

 幼少期からそう信じて疑わなかった日々。しかしそんな日々に変化が訪れた。

 




 「今日からここが君の家だ」

 義父の隣で、俺は目の前にある一軒のアパートを眺めた。築二十年は経っているようなアパートの一室が、俺の新しい家だと義父は言った。日本人民共和国の首都、札幌市中心部のアパート。孤児院がある北広島市から車で一時間の場所。何もなかった孤児院の周辺とは違い、初めて訪れた都会の中、俺は新品の履きなれない靴を履かされてそこに疑心暗鬼を孕ませながら立っていた。

 10歳の冬、俺は遠い親戚に当たる八雲家に養子として孤児院から引き取られた。俺に遠い親戚がいる事など知らなかったが、そんな事はどうでも良かった。ただ、自分を苛める相手が変わっただけだと思っていた。

 孤児院から引き取られる子供は以前から存在する。あの陰惨な孤児院から出る事は幸せな事だと誰かが言っていたが、孤児院を出るからと言って必ずしも幸福と言うわけではない。孤児を引き取る輩の中には奴隷として買い取る人間もいるし、人身売買や売春の目的で子供を買い取る下衆も珍しくない。

 本当はどんな現実が幸せなのか、あの世界で育てられた者には判断できなかった。

 俺もそう言った類で売られたのだと信じて疑わなかった。実際、義父がいくら優しく語りかけても、俺の中の疑心暗鬼と話しかけられる度に膨らむ敵意は変わらなかった。

 それでもそんな俺の態度には何も言わず、義父は優しい笑みを浮かべたままだった。

 「さぁ、遠慮しなくて良い。 君も今日から私達の家族の一員なのだからね」

 義父は優しく言いながら、俺を玄関に招き入れた。俺は敵意と警戒心を抱きながら、慎重に足を踏み入れた。

 「お父さん、その子が私の新しい弟?」

 その声に視線を向けた俺は、目の前の少女に意表を突かれた。

 目の前に現れる少女。俺は不意に足を止め、驚いたように少女を見詰めていた。

 白いワンピースから伸びた腕や足の肌は美しい程に細く、色は雪のように真っ白で、背中の下まで伸びた黒い長髪がさらりと流れていた。孤児院で見てきた子供たちにはいなかった雰囲気を纏い、人形のように整った顔立ちは美少女の域に達する。少女と言えどどこか大人っぽさがあって、特に双眸の蒼い瞳が印象深かった。

 凛としていて、俺なんかよりずっと行動的で頼もしそうな少女。大人っぽい雰囲気を醸し出す顔には、好奇心がひしひしと織り成されていた。

 「そうだよ。 この子がお前の弟になる浩君だ」

 俺の肩に手を置いて、義父は俺を紹介する。それを聞いた少女は俺の名前を復唱するように呟くと、まるで花が咲いたような表情になった。

 「私は夏苗。 今日から私が、君のお姉さんだよ」

 胸に手を当てて、少女―――夏苗姉さんは俺に小首を傾げて微笑んだ。

 「娘の夏苗は君の三つ年上だ。 姉弟として仲良くやってくれ」

 俺は目の前で微笑む夏苗姉さんから視線を逸らした。夏苗姉さんの太陽のような笑顔は、孤児院を出たばかりの俺には眩しすぎて直視できなかったからだ。

 だが、そうやって視線を逸らした俺が恥ずかしがっていると思ったのか、夏苗姉さんはくすりと笑った。

 「今日からよろしくね、コウ」

 それが俺と八雲家の―――そして夏苗姉さんとの出会いだった。



 八雲家での生活は、俺に家族というものを教えてくれた。

 義父と義母は俺を善意で引き取ってくれたことを嘘ではないと証明するように、俺に気兼ねなく接してくれた。

 孤児院育ちの俺は、本当の人間の生活とは何なのかを教えられたような気がした。

 産まれた頃に捨てられた俺は、両親の顔さえ知らず、家族とは程遠い孤児院の中でずっと苛められながら生きてきた。

 俺は、家族というものを知らなかった。それをこの人たちは優しく、真っ直ぐに俺に教えてくれた。

 俺は八雲家に引き取られて、ようやく人間性を取り戻した気がした。何時しか、俺の中にあった敵意はすっかり無くなっていた。

 夏苗姉さんも俺にいつも優しく接してくれた。夏苗姉さんは俺を本当の弟のように接してくれて、俺自身も夏苗姉さんを本当の姉以上に慕うようになっていた。何でも物知りで大人っぽい夏苗姉さんを、俺は尊敬するようになった。

 ある日、夏苗姉さんは俺の目を見て言った。

 「コウの目は、とても強くて良い目をしてるね」

 俺は夏苗姉さんの言っていることがよくわからなかった。孤児院時代から殴られる要因にもなった俺の目つきの悪さは八雲家でも相変わらずだった。八雲家の暖かい家庭に溶け込むことで目つきの悪さも治るかと淡い期待を密かに抱いていたこともあったが、やはりこれは生まれつきのようでこればかりはどうしようもなく諦めていた。

 そんな俺の目を、夏苗姉さんの蒼い瞳が見詰めてくる。

 「鋭くて、諦めない強い心を持っているって感じがする。 凄く格好良いよ」

 俺は夏苗姉さんにそう言われて、顔が熱くなるのを感じた。俺の目が褒められたことなんて一度もなかったから、どうすれば良いのか正直わからなかった。そんな俺を、夏苗姉さんがそっと抱き寄せてくれた。

 「コウの目を見てわかった。 コウは将来大物になるぞぉ」

 「勝手なこと言わないでよ、夏苗姉ちゃん……」

 「私の目は節穴じゃないからね、間違いないよ」

 「……姉ちゃんの目」

 「ん?」

 「姉ちゃんの目は、どうして蒼いの?」

 俺は何気なく、ふと疑問に思ったことをそのまま問いかけていた。視線を向けると、少し驚いたような顔を浮かべた夏苗姉さんがいた。そして気まずそうに笑顔を浮かべた。それを見て、俺は聞いてはいけなかったかなと後悔し始めた。夏苗姉さんの顔は、何だか困っているような表情だった。

 「コウはまだ小さいから教えて良いのかわからないけど………まぁ、いっか。 どのみち話すことになるだろうし……」

 夏苗姉さんは少し困ったようなではあったが、しっかりと話し始めてくれた。俺は真剣に夏苗姉さんの話を聞いている内に、やっぱり少しずつ後悔し始めた。

 夏苗姉さんはクォーターだった。義母は、大戦後に侵攻してきたソ連軍の兵隊に孕まされた祖母から産まれた子供だった。

 祖母はソ連占領下の北海道で、女手一つで義母を育て上げた。その祖母は義母が成人していくのを見届けるように病気で他界したらしい。死ぬまで自分を気遣ってくれた祖母の生き様を教わった義母は、職場で出会った義父と結婚した。

 どんなに生活が苦しくても義父と義母は二人で生計を立て、必死に家庭を支え続けてきた。二人の間に夏苗姉さんが産まれ、その瞳にロシア人の血の証が表れても、二人は夏苗姉さんのために、夏苗姉さんをここまで育て上げた。

 「この蒼い瞳のせいで学校でもよく苛められてね。 他は日本人だけど、ここだけが外国人だから」

 自身の瞳を指差して、夏苗姉さんは寂しそうに笑った。だが、俺は笑って良いのかわからなくて、結局笑えなかった。

 「こんな目、変だよね? 同級生にも気持ち悪いってよく言われてるんだ」

 「ううん、姉ちゃんの目、きれいだよ」

 俺は純粋に思ったことを口にした。俺の言葉を聞いた夏苗姉さんは驚いた表情をしていたが、やがて柔らかく微笑んで「ありがと」と言った。

 夏苗姉さんの目が変だとか、気持ち悪いはずがない。だってこんなにも綺麗なのに。それに比べて、俺の目の方が汚いものばかり見てきたから、すっかり捻くれた目になっている。

 話を聞いた俺は、本当に俺がこんな話を聞いて良かったのかと思うようになってしまった。しかしそんな俺の気持ちを見透かした夏苗姉さんは、また優しげに声を掛けた。

 「ごめんね、コウが気にすることないよ。 それにコウも家族なんだから、知るのは当然の権利だよ」

 「で、でも……」

 「それとも、お姉ちゃんやお母さんのこと、嫌いになっちゃった?」

 「―――ッ! そんなことないッ!!」

 俺はつい大声を出してしまっていた。自分でも驚く程に。しかし夏苗姉さんは寂しさと嬉しさを混ぜたような表情を浮かべると、俺をぎゅっと抱き締めた。

 「俺は、義母さんや義父さん……夏苗姉ちゃんのことも、好きだよ」

 「ありがとう、コウ。 お姉ちゃんもコウのこと、大好きだよ」

 夏苗姉さんの暖かい温もりと柔らかさに包まれて、心が落ち着く自分がいた。優しく頭を撫でてくれる夏苗姉さんの胸の中で、俺は安堵と共に身を夏苗姉さんに委ねていった。



 「ねえ、コウ。 今日はお姉ちゃんと一緒に寝ようか」

 夏苗姉さんの温もりに身を委ねていた俺の耳元に、そっと囁くように夏苗姉さんは言った。

 夏苗姉さんが自分のことをお姉ちゃんと呼ぶ時は、自分に甘えろと言う意味だ。俺と夏苗姉さんが姉弟になってから、夏苗姉さんは俺を弟として優しく甘えさせてくれたし、この時は久しぶりだったから、俺も素直に頷いていた。

 特に他意はなかった。ただ、普段通りに夏苗姉さんに甘えよう。先の夏苗姉さんの温もりに身を委ねてしまったばかりだったから、その余韻が残っていたのかもしれない。

 ただこの時、普段の夏苗姉さんとは少し変わっていた。俺は夏苗姉さんの微かな変化に気付きながらも、大して不思議には思わなかった。

 俺たちのアパートは冬になるとよく風が吹き抜け、寝る夜は随分と冷えてしまう。夏は暑苦しく、冬は寒い家だった。だから一つの布団の中で夏苗姉さんと一緒に寝るととても暖かい。

 「ねえ、コウ……寒くない?」

 横になっていた俺の背後に寄り添いながら、夏苗姉さんがそっと訊いてくる。

 「ううん、大丈夫」

 「そっか」

 そう言うと、夏苗姉さんは背後から俺を抱き寄せた。俺の背中が夏苗姉さんの身体に密着する。夏苗姉さんの胸の弾力が背中越しにやんわりと伝わる。元から大人っぽい夏苗姉さんだが、その体型も先走っているかのように発達していた。夏苗姉さんの身体に触れるのは恥ずかしくもあったが、同時にその優しい温もりが嬉しかった。

 夏苗姉さんの柔らかい体と暖かな人肌が直に伝わってくる。人肌とはこんなにも暖かいことを、俺は改めて知った。

 俺は夏苗姉さんに抱き寄せられながら、その日聞いた話を思い出す。夏苗姉さんの瞳と義母の生い立ち。俺は夏苗姉さんの言葉を思い出す。俺を本当の家族と認めてくれたからこそ、夏苗姉さんはあの話を俺に話してくれた。そう思うと、俺の中でふわふわと暖かい綿が浮いてくるようだった。

 「コウ……」

 夏苗姉さんの小さな声に、俺は我に帰る。夏苗姉さんの初めて聞く儚い声に少し驚きつつも、俺は返事を返そうと口を開いた。

 「なに、夏苗姉ちゃ……―――ッ?!」

 俺の身体をそっと抱き寄せるようにあった夏苗姉さんの手が、俺の下半身に触れていた。夏苗姉さんの細い手に並んだ指が、なぞるように俺のモノを撫でていく。

 自分が何をされているのか、何故されているのか、一気に頭の中がごちゃごちゃになってわけがわからなくなる。

 色々なものをかき混ぜられる意識の中で、夏苗姉さんの甘い声だけが、はっきりと俺の中へ通っていた。

 「静かにして」

 俺は開きかけた口を無造作に開閉するだけだった。わけがわからず、何かを言おうとしたらしい。しかし夏苗姉さんの声が俺の中に抑制を掛けた。

 「あまり声を出すと、気付かれちゃうよ……」

 一つ襖の向こうには、義父と義母が眠っている。俺は声を押し殺すように口を噤んだ。

 口を噤んだ俺の背後から、夏苗姉さんのくすりと笑う気配が伝わる。

 「いい子」

 俺の耳元で、夏苗姉さんが溶けるような声で囁く。

 そして夏苗姉さんはそのまま俺の耳を甘噛みした。

 背中に押される膨らみと、耳に当たる甘い刺激が俺の血流をますます奮い立たせる。その血流が俺の下半身に集中し、そこを夏苗姉さんの手が刺激を与えていく。

 混乱する意識の中で、小さく震える自分の身体を必死に抑えようと試みるが、あまり意味を成していなかった。

 「お姉ちゃんね、今日は嬉しかったの」

 「……?」

 自分の中で揺れ動く何かを抑えながら、俺は淀む意識の中で夏苗姉さんの言葉を聞いた。

 「この目を綺麗だって言ってくれて、本当に嬉しかったの」

 夏苗姉さんの目。夏苗姉さんの蒼い瞳が、情けない俺の横顔を水面のように映している。

 「だって……この目を褒めてくれたの、コウが初めてだったんだから……」

 「……………」

 俺だって、自分の目を褒められたのは初めてだった。でもそれは、夏苗姉さんも同じだった。

 初めて褒められた自分のもの。それは予想以上に嬉しいものなのか、俺自身は正直よくわからない。

 でも、夏苗姉さんは本当に嬉しそうだった。夏苗姉さんが嬉しいなら、俺も嬉しいと思う。

 この時は―――夏苗姉さんには悪いが、それ所ではなかったが。

 「………ッ」

 混濁する意識。何かが奥底からこみ上げてくるような衝動に、俺は少しずつ恐怖した。でもすぐそばにある夏苗姉さんの温もりが、優しく俺を受け止めてくれた。

 「だから、これはお礼。 お姉ちゃんがコウを気持ち良くしてあげるね……」

 俺は敏感に夏苗姉さんの手を感じる。意識が朦朧としてくる。こんな感覚は初めてで、どうして良いのか全くわからない。

 「いいよ、お姉ちゃんに全部任せて」

 そして俺は結局、さっきのようにまた夏苗姉さんに全てを委ねてしまうのだ。俺は夏苗姉さんの中で全てを委ねて自分を見失った。



 パジャマを着替えた俺は、夏苗姉さんに抱き寄せられるような形で布団の中に埋まっていた。夏苗姉さんは抱いた俺の頭を優しく撫でてくれる。

 「気持ち良かったでしょ?」

 「……………うん」

 そう答える俺は物凄く恥ずかしかった。夏苗姉さんは何がそんなに嬉しいのかニコニコと笑っている。

 「またいつでも、してあげてもいいんだよ?」

 「………い、いい」

 「もうっ、可愛いなぁコウは」

 そう言って、夏苗姉さんは愛おしそうに俺を胸の中へと抱き締めた。夏苗姉さんの良い匂いが頭をくらくらさせる。

 夏苗姉さんとは血が繋がっていない姉弟だが、自分はしてはいけないことをしてしまったような気がして不安になった。しかし夏苗姉さんは俺の不安になった気持ちをも見透かすように、大丈夫だよと俺に囁きかけた。

 「お互いに大好きなら、私は良いと思うよ」

 「そうかな………」

 「そうだよ。 それともやっぱり、コウはお姉ちゃんのこと嫌い?」

 「そんなことないって……ッ!」

 「うふふ、やっぱりいい子だなぁコウは」

 夏苗姉さんはずるい。そして俺はどうしても夏苗姉さんには敵いそうにない。別に勝とうとは思っていないが。

 「私はね、コウのことが本当に大好き。 私はコウのお姉ちゃんでいられて幸せだよ」

 「……………」

 「私の瞳を綺麗だって言ってくれた、私のたった一人の弟。 お姉ちゃんがいつまでもコウを守ってあげるね」

 夏苗姉さんは俺を抱き寄せながら、優しく語りかけるように言葉を紡いだ。

 「コウもいつか……大きくなったら…………を守るんだよ……」

 やがて夏苗姉さんの心地よい寝息が聞こえ始めた。その傍らで、俺は決意する。俺はまだ子供だ。何も知らない子供。いつか俺が、夏苗姉さんを守れるようになりたい。今は守られる側だけど、いつか守る側になろう。大切な人を。俺はそう決心を固めていくうちに、意識を眠りの中へ落としていった。



 夏苗姉さんの瞳の秘密と、俺の瞳。

 それぞれの瞳を持った姉弟は、あの夜を境に分かち合った。

 思えばあの夜から、俺と夏苗姉さんの距離も大分縮まっていたかもしれない。元から夏苗姉さんは俺に優しく接してくれていたし、俺もそんな夏苗姉さんを姉として尊敬し、大好きだったこともあるが。

 ただ、二人は何かが明らかに変わった。それは具体的にはわからなかったけど、俺はそれでも良いかなと思うようになっていた。いい加減かもしれないが。

 しかしまぁ―――あの夜、一緒に寝た時の『行為』はあれきりだった。夏苗姉さんはいつでもしてあげると言っていたが、俺はどうしようもなく恥ずかしかった。

 だから俺は自分から頼むようなことは絶対にしなかった。夏苗姉さんの方からもしてくる気配はなかったし、これで良いと思っていた。それに何故か罪悪感も沸いて、暫く良い気分でもなかったから。

 ただあの『行為』は無くても、二人の距離は縮まったことは変わらなかった。俺はその事実だけは素直に嬉しく感じていた。

 


出来るだけ表現をぼかして書いたつもりですが怖い。


ちなみに最後まではやっていませんよ。行為の文章の終わりの通りです。

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