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第五章「地獄」 3
「は…はは…ふざけんなよ…!」
「ふざけてなんかいません。神経がやられたから痛みを感じなくなったんです。第一、そんな様子で大丈夫な訳無いじゃないですか…」ミシェルはロバートの右手を手に取った。
掌は大量の膿で埋め尽くされており、周囲の皮膚も黒ずんでいた。手持ちの道具ではまともには治療出来ないレベルだ。
腐食はこうしている間にもどんどん進んでいる。だと言って放置出来ないし、治療も出来ない。
ならどうする…?
答えは一つ。
「……もうこれは…腕ごと切り離すしかないですね…」
「…お前がジグソウに見えるぜ…」
己の無力さを嘆くミシェル。勘弁してくれと心の中で呟いた。