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第五章「地獄」 2
「落ち着いて下さい!!」
「落ち着ける訳あるか!!朝起きたら右手がゾンビになってんだぞ!!」尚も叫び続けるロバート。
ロバートを静めるのを諦めたミシェルは無言で彼のところに寄った。
「助けてくれぇ…!!治してくれぇ…!!」悲鳴混じりの懇願。ミシェルに右手を差し出した。
「……。」駄目だ。右手は完全に壊死してしまっている。このままでは腕全体が…いや、脳まで侵され死に至ってしまう…!
すると、突然ロバートの叫びが止んだ。そしてきょとんとした目で呟いた。
「…痛くない…。痛くないぜ、ほら、クソキザ。痛くなくなったぜ!!」歓喜で声を張り上げるロバート。
「良かったじゃん!!」ミシェルにしがみついて震えていたマックスも安堵の笑顔を見せた。
しかし。
「馬鹿ですか、貴方は!?」ミシェルはもの凄い剣幕でロバートを睨んだ。
「は…?」戸惑うロバート。痛くないんだったらそれでいいだろうが。
次の瞬間、ミシェルの口から信じられない言葉が出てきた。
「神経がやられたんですよ…!!」