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第四章「独房」 14
「…え…?バッタ?」たじろぐマイケル。
「そうですバッタです」
「は…?食うもんちゃうやろ…?」
「バッタも大事な食料ですよ」ミシェルはそう言って自分のリュックの中からある物を取り出した。
バッタケースだ。
プラスチック容器の中にこれでもかというくらいの無数のバッタが詰められている。虫嫌いが見たら卒倒するであろう光景だ。
しかし、ロバートとマックスはそれを気にも留めずに面白そうにマイケルを見ていた。ミシェルのバッタの素揚げはレジスタンス内の定番メニューだ。その手の惨い光景には慣れてしまっているのだ。
「諦めろ。」
「まぁ一口食べたら慣れるよ。」そう言って、ロバートとマックスはそれぞれマイケルの肩に手を置いた。
マイケルの顔から血の気が引いた。
マイケルは震える指でバッタの素揚げを一匹つまむ。そしてそれを口の中に運んだ。
パリパリパリ。何回かソシャクをした後、黙ってコンソメスープで流し込んだ。