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第四章「独房」 13
「一月前まではそうやなかった。」
「…というと…?」マックスは体を前にして耳を傾ける。
すると、ロバートがマックスを止めた。「おい、馬鹿野郎。」
「何さ。」
「察してやれ。他人のトラウマは思い出させるモノじゃねぇんだよ。」
「気遣いありがとう。」マイケルは笑った。「でも、ええんや。一ヶ月間、俺独りぼっちやったもんな。」
沈黙。キッチンから香ばしい香りが漂ってきた。
「俺には女房がおったんやけどな、ちょうど一ヶ月前…」マイケルはここでほんの僅かに躊躇で間をとったが、また口を開いた。「自殺してしもたんや」
さらに続ける。首を吊って死んでいた事、火葬した事、エトセトラ、etc...とにかく聞いていて酷く心の痛む話だった。
そしてしばらくすると、ミシェルが完成した料理を持ってダイニングテーブルに戻ってきた。
「皆さん。今日のメニューはベーコンコンソメスープと……」
バッタの素揚げです。