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第四章「独房」 11
クッキングタイムやっぱスタート。
そしてミシェルは台所(ここも汚かった)に立つと、バッグの中から何かを取り出した。
料理の材料だ。ミシェルは食事係であるが故、何処でも料理ができるようにいつも持ち歩いているのだった。
取り出したのは、コンソメケースと玉葱一個、少し傷んでしまったベーコンだった。
「さぁ、始めますか。」そう呟くとミシェルは自前の包丁で玉葱を微塵切りにし始めた。
「ミッキー、水はありますか?」
「水?水やったら下に腐るほどあるで」するとマイケルはミシェルが立っているキッチンの収納スペースから1.5リットルのペットボトルを一つ寄越した。当然、中身は雨水だ。
ミシェルはそれを受け取ると、調理スペースにガラクタの様に山積みにされていた調理器具の中から厚みのある鍋を取り出した。マックスがミシェルの手元を見てみると、既に玉葱は微塵切りにされていた。恐ろしい程の手際の良さだ。