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第四章「独房」 6
その時、玄関のドアが何者かに叩かれた。
最初、その音は一つだったが数秒後、雨音のような勢いで叩かれ始めた。
呻き声が聞こえた。明らかに人間ではない、おぞましい声ーー。
ノーアイズが宿を開けろとノックしているのだ。ドアがきしみ始める。今すぐにでも破られそうだ。
「…わかりました。ロバート、マックス、行きましょう。」
「あいよ。」
「はいはい。」
すると、男は「OK.アンタがロバートで君がマックスやな。君の名前は?」と言い、ミシェルを指さした。
「ミシェル。ミシェル・ドラクロア。変わった名字でしょう?」
「『十字架』…やね。OKOK!!俺の名前はマイケル・ムーアズ。まぁ、ミッキーとでも呼んでや。」
「ミッキー…ですか。………分…かりました。」ミシェルはマイケルにバレないように含み笑いをした。が、言葉に出てしまっていた。
すると、ロバートが割り込んできた。「何してんだ、やるぞクソキザ。奴等に扉越し銃ぶちかますぞ。」そう言って、蝶番が外れかけたドアにウージーの照準を合わせた。