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第四章「独房」 4
そう言ってミシェルはドアノブに手を掛けた。音を立てず、ゆっくりとそれを回す。60度程回すと突っかかりが現れた。完全にドアノブが回ったのだ。
耳を澄ませばドアの向こうから足音が響いてくる…。ノーアイズが蠢いているのだ。数は1か10か100か1000か…開けてみないと分からない。3人は今まさに史上最悪のびっくり箱を開けようとしているのだ。
風見鶏の周りを翔ぶ烏が一声鳴いた。その鳴き声は一瞬で終末の世界の夜明けに響き渡った。
そして、ミシェルはドアノブを一気に押した。しかしそれでは足りず、蹴った。扉は中の壁にぶち当たって若干跳ね返り、それと同時にマックスとロバートが共に中へ突撃した。
だが、その直後に起こった出来事はあまりにも唐突な出来事だった。銃を突きつけるはずのロバートとアッシュが逆に銃を突きつけられたのだから。