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第四章「独房」 3
玄関の扉の隅には無数の蜘蛛の巣やその糸が張っており、とうの昔に息絶えて朽ち果ててしまった蝶がそこに磔にされていた。
壁に寄りかかっているノーアイズの死体は気持ちよさそうに四肢を投げ出して、ココハオレタチノスミカダと言わんばかりに眼球のない眼と鋭い歯が並んだ口を大きく開かせていた。
3人は無言で玄関の前に立った。
午前6時37分。
もう少しで朝が来る。日が昇る。
「私がドアを開けた直後に即、2人は中に突入して下さい…分かりましたか…?」ミシェルは小声で突入の最終確認を行った。
「ああ…。」
「わかってるよ、ミシェラン…。」
「…私の名前はミシェルです…。」マックスのは気に食わなかったが兎に角一応2人は首を縦に振った。
準備完了。
ミシェルはベレッタのグリップを握りしめた。
「…では行きますよ…!」