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第四章「独房」 1
東の空が茜色に染まっていく。太陽だ。もう少しで朝だ。悪夢の夜が終わりを告げようとしている。
ノーアイズの体は朝になって太陽が昇って来るとその日光によって蒸発してしまう体なのだ。日中は廃屋などの陰で夜を待つ。
夜行性だ。
だからといって日中に歩を進める訳にはいかない。休息がなくなってしまうからだ。日中はひたすら歩き続け、夜間は目覚めた化け物たちとの闘い…3日と体が持たない。その前に精神が狂う。ターミネーターでないと無理だ。
よって日中は夜に備えてひたすら休息を取ることにしている。酒を飲み、睡眠も取る。
それには宿を取る必要があるのだが、これが夜間最後の地獄だ。
宿を「取る」ではなく、「奪う」のだ。奪う相手はもちろんノーアイズ。
まず適当な廃屋を選び、中のノーアイズを掃討し、占拠する。それが完了したら、他のノーアイズを中に入れないための防衛戦だ。
でないと、怪物と一緒に「お泊まり」だ。