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序章8
「ははは……!」
「…?」ジョンはその不審な笑いに眉をひそめる。
するとボブは突然振り返ってこちらへ向かって猛ダッシュした。その直後、鼓膜を切り裂かんばかりの大音量の狂った叫び声と共に、店の出口から大量のノーアイズが大津波の様に溢れ出てきた。
「俺が行くまでもなかったな!」
「黙れ!!迎撃しろ!!」
一斉射撃が始まった。ノーアイズの叫びを掻き消す銃声の嵐の前に、大量のプリン状の肉塊が転がっていく。薬莢と腐った血肉が混じった臭気が強烈に鼻をつく。沸き上がる肉飛沫の間からも次々とノーアイズが現れる。上半身だけになったノーアイズが悶絶しながら這いずりだす。
「埒が開かねぇ!アッシュ!!」
「サー!!」ジョンに呼ばれた男、アッシュ。彼はグレネードのエキスパート。アッシュはとっさに懐からグレネードを取り出し、栓を抜くと、ノーアイズの群の遙か後方目がけてそれを投げた。
ノーアイズの頭部と自動ドアの枠の間を、投げたグレネードは滑らかな軌道を描いて抜けていく…。