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第三章「廃屋」 36
「おい、止めろよ!!」
「五月蠅ぇ!!」マックスがウージーを奪いに掛かるも来たところで鳩尾にロバートの強烈な蹴りが突き刺さった。マックスは絶息してその場に崩れ落ちた。
「…こいつはレイの陰気野郎と一緒さ。イカれたら殺す。」ロバートがウージーを構え直す。「『イカれたら殺す』…いい言葉だな…ハハハ…元の世界でもそうだったっけな……死刑囚、言い残すことはないな?」
ウージーの引き金が徐々に絞られていく。あとほんの数秒でミシェルの体が穴だらけになるだろう。いや、数秒もかからないかも知れない。
「やめてくれよ!!」マックスが必死に叫ぶが、引き金の動きは一瞬たりとも止まらない。先程の一撃で肋が折れたのだろうか、マックスはただ地を這うばかりだ。そうしている間にもうすぐ死へのカウントダウンが終わりを告げようとしていた。
しかし次の瞬間…
「あいつは一体どれだけ溜込んでるんだろうな…」
ミシェルがそう言った直後、ロバートの手が止まった。