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第三章「廃屋」 35
「俺が殺したんだ…俺が…」ミシェルが仰向けになった。涙が頬を伝っている。
「そうさ、お前が殺したんだ。」嘲笑を浮かべるロバートの拳は血塗られていた。「見殺しさ。」
「そうだ…」ミシェルはふらつきながらも服に付着した砂利を払いながら立ち上がった。「俺は人殺しだ。俺がアッシュを見殺したんだ」
「ようやくわかったか」ロバートはなおも笑い続ける。
「ああ、ようやくわかったさ…ジョン・ターウィルガーはあの時人間として当然のことをやったってことを」
ロバートの笑いが止まった。その一瞬、何も聞こえない完全な静寂が地下駐車場の3人の前を通り過ぎ去った。
「………お前、とうとうイカれちまったんだな…」ロバートが背負ったバッグに挿したウージーに手を掛けた。 マックスの心臓が凍り付いた。「じゃあ死んじまえ」
ロバートはそう言うと、ミシェルにウージーの銃口を向け、構えた。