第三章「廃屋」 33
地下駐車場。あの後、ロバートとマックスは怪物が去ったことを念入りに確認した上で、階段へ向かった。その階段を降りていき、駐車場へのドアを開けたすぐのところで、独り佇むミシェルを見つけたのだった。
駐車場の出口から見える空が光を帯びてきた。もうすぐ朝だ。
「一体全体どうした?マーダーピエロみてぇに叫んで逃げやがって。」ロバートは俯くミシェルの顔をのぞき込んだ。「えぇ?クソキザ」
しかし、ミシェルは何も言わないままただ黙りこくる。
「運が悪かったら俺達握り潰されてたんだぜ」マックスも加わった。言うまでもなくロバート側だ。
「おい、何とか言えよ。」
それでもミシェルは黙ったままだ。
「おい、テメェ…!!何とか言えよ!!俺達を置いて逃げたんだぞお前は!!」ついにロバートがしびれを切らし激昂した。ミシェルの胸倉を掴み、さらに続けた。「おまけにテメェはアッシュを見殺しにした!!何故だ!!何故撃たなかったんだ?!この人殺しが!!!」
ロバートがそれを言い終えた次の瞬間、ミシェルは自らの胸倉を掴むロバートの腕を強引に力任せに払いのけ、その勢いでロバートの体を全力で押し倒した。