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第三章「廃屋」 31
数秒後、彼の頭部が膨らんでちょうど飴玉のようになる。胴の中の全ての血液、骨、臓物が今、頭の中へ凝縮されているのだ。アッシュ、いやその奇形な物体はびくんびくんと無意味に体を震わせて今にも破裂しそうなその頭部を不気味に揺さぶる。
次の瞬間、ついに頭の天辺の頭皮が裂け、体の内容物を噴水の如く勢い良く撒き散らした。頭蓋骨の破片を皮切りに、蛆のような脳髄、血と溶け込んだ内臓や皮下脂肪が、尋常ではない量のドス黒い血液と共にドバイの噴水ショーを再現する。
次に頭部自体が破裂した。眼球が弾丸のように弾け飛んでから、それと同じように内臓達も弾け飛ぶ。まるで人間火山だ。
「あああぁあああぁぁ!!!」ミシェルは突如叫び狂い、その光景に背を向けて地下駐車場への階段を駆け降り始めた。
「あっ、おいミシェル!!」ロバートが制止をかけたが、彼は止まらなかった。彼が踊り場で折れるとすぐに姿が見えなくなってしまった。