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第三章「廃屋」 28
「うおぉおぉぉおおぉ!!!」全力で足を動かすが、後ろの地鳴りは大きくなっていくばかりだ。
「畜生!!何だってんだ畜生!!」疲労で肺が焼け付いてきた。
あと10メートル。
もうすぐ扉に手が届く。だがもう体力が持たない。これ以上ない焦燥感が4人のスタミナを大幅に削っていた。扉が一瞬、地平線の彼方にあるように見えた。
あと5メートル。
ここでミシェルは愛用銃のベレッタを懐から抜いた。そして、即座に扉のドアノブ目がけてそれを連射した。直後、ノブとその部品が一斉に弾け飛んだ。ようやく辿り付いて鍵がかかっていたのでは為す術もなく後ろの奴に皆殺しだ。
もう扉は目の前だ。
それから数歩地を蹴ると、ミシェルはドアにタックルを仕掛けた。その瞬間、ドアは蝶番を支点に勢い良く開いた。4人はそこへ一斉になだれこんだ。ただ、それはダイブに近かったので、宙に舞った体は階段の踊り場の床を転がった。
「危ない…所でしたね…」ミシェルは息を絶え絶えにして言った。