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第三章「廃屋」 23
ここから駐車場までを時間にすれば1分だ。全力で走ったらそれ以下になるだろう。
とにかく早く、この薄気味悪い百貨店の中から抜け出すのだ。今もどこからかこちらの様子を見られているような気分だ。
「早く行きましょう。気味が悪い…」ミシェルはそう言ってからふと背後を振り向くと、遠くから床に散乱したサンダルなどのものを踏みつけながらノーアイズがこちらにゆっくりと寄ってきているのがはっきりと目に映った。「ここの住人達もお怒りの様ですしね。」
「あぁ。もうとっとと行っちまおうぜ。」そして、ロバートの言葉をきっかけにして皆(アッシュはマックスに背負われて)動き出した。
まずエレスカレータ目指して一斉に走り出した。ベンチとエスカレータの距離はごく僅かな物だったので、ここは難なく走り抜けられた。
次、エスカレータを降りる。しかし、またしてもそこでノーアイズ共が群がり、進行の妨害する壁となっていた。
しかし、爆音と共にそれらは一瞬にして烈火の炎に呑み込まれた。