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第三章「廃屋」 22
それは何か。
1階の衣類コーナーのノーアイズ。奴を圧殺したアレだ。得体の知れない怪物。どんな体躯か、どんな生態なのか、そしてそれはどんな恐怖なのか。未だ誰も知らない。
次の瞬間、闇の中からそいつの巨大な手が伸びてくるかもしれない。エスカレータを降りていく途中で急に姿を現すかもしれない。
「まるで巨大なプレデターに追われてるみてぇだな…」
ロバートの言い分が的のど真ん中を射た。
神出鬼没の巨大な闇の殺戮者…。
「さぁ、そろそろ行きましょうか。」ミシェルは立ち上がった。
しかし、そんな言葉とは裏腹にミシェルの心臓ははち切れんばかりに暴れ狂っていた。