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第三章「廃屋」 16
「もうちょっとで席が空くぜ、キザ!」撃ちながら、ロバートは言う。ウージーを持つ、太い腕は全く反動によるブレを見せない。
「ああ、そうですか。」ロバートの背後で答える、ミシェル。その口調はいつもの事にしても、妙に冷静だった。「遅いですね」
すると、けたたましい銃声と共に、ロバートの背後からベレッタの弾幕が張られた。その弾は全て寸分狂わず1階のノーアイズ達の額にぶち込まれていった。銃器と怪物の絶叫パレードが始まった。銃声が断末魔を、断末魔が銃声を互いに揉み消し合う。リオ・デ・ジャネイロも驚く程の盛り上がり様だ。花火も上がった。硝煙と血の花火だ。腐敗臭の醜悪な臭いと硝煙の突き刺す様な臭いが絡まった、史上最悪の芳香が立ちこめていく。
ウージーの歓声が上がった。祭りはさらに過激になっていく。4人以外、もう誰もまともに立ってはいられなかった。まるでブルドーザーに薙ぎ倒されるかのように、ノーアイズは次々とそれぞれの内蔵をさらけ出して倒れていった。その手の精肉屋は大喜びだ。未曾有と言えるほどの大量の肉塊が血溜まりの中に陳列されているのだから。