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EYES  作者: 和菓子
EYES
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第三章「廃屋」 9

 その死体の致命傷…それは手跡だった。銃弾の鉱道でもなく、ナイフのレールでもない、ましてやグレネードのザクロでもなかった。ただの手の跡だった。

 しかし、絞殺とは言い難かった。なぜなら、手形が巨大過ぎたからだ。死体の体全体を包み込むようにして食い込んだ手形…。死体が粘土のように見えた。これは圧殺だ。

 見ると四肢が全てあさっての方向に折れ曲がっていて、ところどころがペーストの様な、凄惨なひしゃげ方をしていた。腹部からはアバラが皮膚を貫いて、そこからは腐った内蔵片が滲み出ていた。

 何かいる。この店には巨大な何かが潜んでいる。

 そんな予感が4人の脳裏によぎった。

 突然、店内の闇がとても恐ろしく見えた。

 引きずり込まれる…。

 身震いをした。突如、闇の中から巨大な魔の手が出現し、この死体の様に圧殺されるのではないか。

 先の見えない暗闇は、懐中電灯の光が殆ど届かない程強力だった。4人居るのにも関わらず、どうしようもない様な孤独感が彼らを襲った。

 そして心臓の鼓動さえ聞こえそうな静寂の中、4人は再び歩き始めた。

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