5/186
序章5
今朝、ガンショップを確保できたのは幸いだった。手に余るほどの銃器が手に入ったからだ。
ジョンはふと、ショップの割れた窓から臨める景色を見た。
ヨーロッパ調の寂れた家々が立ち並び、誰もいないその中を、12月の凍てついた風が1人駆けていた。
茜色をした西の空が、闇に浸食された東の空に蹂躙されている。
…雪だ…。クリスマスの祝福か…
「あぁ、今夜は冷えそうですねぇ…。」ミシェルが冷えた手を吐息で暖めながら、ジョンに近づいてきた。
ミシェル。レジスタンスのシェフ。端正な顔つきをしたイギリス人だ。
「そうだな…。皆にショウガたっぷりの飲み物を作ってくれ…」ジョンの手も悴んでいた。
「了解。ではジンジャー・チャイでも作りましょうか」ミシェルはそう言うと、小走りでショップの調理室へと向かっていった。
「手早くな。日が沈んじまう。」
昨晩は5人死んだ。