第三章「廃屋」 5
「だ…大丈夫っスよ…。」そう言うが、憔悴しきっていた。顔に覇気がない。声も弱々しかった。
ーーアッシュは、あの先程の戦いで、ジャニスと同じようにノーアイズによって押し倒されたのだ。
しかし、彼の場合状況が全く違った。自分勝手な行動が災いし、群れの真ん中、孤立無援の中で戦ってしまったのだ。
そしてすぐに押し倒された。しかし、彼には押し倒されて抵抗する術がなかった。なぜなら彼の武器はグレネードだったからだ。アッシュには押し倒されたその時でもグレネードを投げられる腕があったが、その腕は地面に押しつけられてしまっていた。
それから、アッシュは体の自由が何一つ利かない状態で、攻撃を受け続けた。それはまるで何人もの強姦魔から集中的に陵辱を受けているかのような様だった。壮絶なリンチだった。
まず、横っ腹に歯を立てられ、そのまま喰い千切られた。
「おごあぁあああ!!」身のよじれるような痛みに絶叫した。
それを皮切りに、アッシュに覆い被さってきたノーアイズ達が、紫の舌から黒い唾液を滴らせて次々と爪を立ててきた。
必死にもがくが、押さえ込まれた両腕が振り解けない。