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第三章「廃屋」 1
「ふざけんなよ…ジョン・ターウィルガー…!!」
一階フロアの床は埃だらけだった。そこに一滴一滴、ポタリポタリとアッシュの血液が滴る。
まだ日の光が差し込まない百貨店の中は不気味な闇がうずくまっていた。割れた電球を携えてぶら下がるシャンデリアの様子はまるでホーンテッド・マンションだ。
煙幕弾で撒いたノーアイズの大群は店の外をさまよっている。中に入ってくるノーアイズもいたが、恐らくこちらには来ないだろう。ジョン達は一階の最深部のシューズショップに逃げ込んでいた。
ジョン達のすぐ隣にはここの店員の死体が壁にもたれ鎮座していた。自殺だろうその死体の側には血糊がこびり付いたワルサーが転がっていた。
そしてそこで、ロバートはジョンの胸倉を掴み、怒号を飛ばす。
「畜生、見ろ!アッシュを!」床に横たわるアッシュは滝のような汗を流し、必死に腹の痛みに耐えていた。酷い裂傷だった。次から次へと止めどなくドス黒い血が溢れ出す。まるで鉄鋼弾を食らったアフガンの敗残兵だ。
ロバートの掴む拳の力が強くなった。