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第二章「腐食」 13
「ジャニス!!」ジョンは叫んだ。と同時に倒れたジャニスにボブの援護射撃が加わった。
「畜生!!ピラミッドの上にいた3体のプレデターの気持ちが今なら分かるぜ!」ボブはそのまま打ち続けた。見れば右腕に大きな裂傷ができている。
「我々が壊滅するのも時間の問題です!!さぁ、命令を!!」ミシェルは必死の形相で葛藤するジョンに、さらに催促をかける。
畜生…!レイはどうする…?!俺は見捨てなければいけないのか…?
糞っ垂れ…!!
「皆!!」ジョンは再び叫んだ。「逃げるんだ!!退却だ!!」
それに連られ、ボブも吠えた。「ヘイ、待ち遠しかった退却命令だ!!」
皆それを聞くや否や、指図せずとも百貨店目指して一目散に走り出した。
ロバートが満身創夷のアッシュを背負って、ボブは血液が滴る右腕をだらりとぶら下げて、ジャニスは切り裂かれた横腹を懸命に押さえて、逃げ出した。
惨めな敗走だった。
その時ジョンが振り向きざまに見たものは
ノーアイズに飲み込まれていくレイの姿だった…。
そしてそれは、担がれたアッシュが煙幕弾を放ったきり見えなくなってしまった。