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第二章「腐食」 11
ジョンが引き金を引こうとしたその時…!
突如、レイの腕がジョンのコルトパイソンを掴んだ。
「おい…!」ジョンは絶句した。
すると、俯いていたレイがゆっくりと顔を上げる。
唇の隙間から牙が覗いた。残っている片目の光が失せている。眼窪からの黒い涙が頬を伝う。
ノーアイズ…!
ジョンは再び引き金を引こうとしたが、レイが銃身を跳ね飛ばした。弾が空を切った。
間髪入れずにレイはジョンの右足に咬み付いた。
「ぐぅっ!?」ジョンは呻いたが、コルトパイソンの銃口は既にレイの後頭部を捉えていた。
即座に発砲した。しかし、それを見たレイはとっさに飛び退いた。次の瞬間、弾丸は地面のアスファルトで跳弾し、火花を散らした。
遅かった。レイが人間として死ねなかった。
バックステップしたレイが再びジョンに襲いかかる。
「おい、ジョン!!こっちやべぇぞ!!」その時、ロバートは叫んだ。レイが呻きだしてから今までで、凄まじい数のノーアイズが、ジョン達のいる十字路の真ん中目指して前後左右、四方から迫っていたのだった。
そして、現在は目前の位置にまで達していた。