第二章「腐食」 10
「…!!」やばい!声でばれちまう!!
ジョンはとっさにレイを懐へ抱き寄せた。
しかし、遅かった。ノーアイズ達は一斉にこちらを振り向くと、ふらふらと走り寄って来た。
「あぁ…!あがぁ!はぁ!あぁあ!」それでも尚、レイは突然の痛みに震え続ける。動悸が激しくなる。
「おい!!大丈夫か!?おい!!」皆が必死に呼びかけるが、レイの耳には入ってない。喘ぎ苦しみ、小刻みに震える手でジョンのコートを鷲掴んだ。レイの顔が苦悶に歪む。
すると突然「げぇっ…がぁっ…げぼっ!」屈み込み、アスファルトの地面に大量の血反吐を撒き散らした。レイが撒き散らしたそれは黒かった。
再度吐く。レイの溢れ出た涙が反吐の中に混ざり込んだ。見るに耐えないものだった。レイの膝が暴れている。
ジョンはこんなところで来るとは思わなかった…レイをこの手で撃つ刻だ。
レイの掴んだ手が徐々に緩んでいく。
「ひぃ…ひぃっ…ひぃ…!」喘ぎ声が断末魔に聞こえる。
残念だが…もう…終わりだ…。
ジョンは決心し、腰のホルダーからコルトパイソンを引き抜き、即座に悶えるレイの頭に狙いを定めた…。
「あああぁあぁあぁぁあぁ!!!!」